西日本新聞電子版 1周年記念プレゼント

費用、設置場所が壁 自治体進まぬ非常電源整備 停電で災害対応支障も

福岡県久留米市役所の4階にある非常用電源設備=8月29日
福岡県久留米市役所の4階にある非常用電源設備=8月29日
写真を見る

 国が市町村に非常用電源の設置や浸水対策を繰り返し求めるのは、災害時に司令塔となる庁舎で停電が発生すれば、災害対策に大きな支障が出るからだ。自治体側からは「費用や設置場所の確保が壁になっている」との声も聞かれるが、全国各地で豪雨や地震被害が相次ぐ中、非常用電源による備えは急務だ。

 2015年9月の関東・東北豪雨では茨城県常総市で鬼怒川が決壊し、市域の3分の1が浸水。停電した市庁舎では、屋外の非常用電源も浸水で使用不能になった。照明や電話、パソコンのほか防災行政無線も使えなくなったという。防災危機管理課長は「庁舎の停電は2日間続いた。県庁など関係機関との電話連絡も職員の携帯電話に頼らざるを得ず非常に厳しい状況だった」と振り返る。

 7月の九州豪雨でも、福岡県東峰村で庁舎が停電。非常用電源が稼働したが、何らかの原因で電力供給が約14時間できなかった。「ポータブル発電機を使うなどして対応した。影響は限定的だった」と総務課長。6月の点検運転では異常はなかったという。

 なぜ非常用電源の不備が続くのか。今回調査では、費用や設置場所の問題を挙げる声が目立った。電源が未設置の福岡県大川市の担当者は「必要性は十分認識しているが、厳しい予算状況の中、2年連続で予算要求に対し(財政担当から)ゼロ回答だった」。

 電源の設置費だけで数千万~億円規模の予算が必要とされ、国は設置や災害対策を促すため、費用の7割を負担する制度を設けている。だが浸水対策が未整備の同県篠栗町の担当者は「政策課題が山積し、3割負担でも重い。補助制度の充実を求めたい」と語る。

 一方、暴れ川と呼ばれる筑後川が市域を流れる同県久留米市役所は、現庁舎で業務を始めた1995年に非常電源を4階に整備。庁舎は耐震構造で、国が求める72時間稼働できる燃料備蓄にも対応している。非常用電源で照明や防災無線、住民票データを保管するサーバーなどに対応する想定だ。担当者は「万一の時に非常用電源を有効に使うためにも業務継続計画(BCP)をブラッシュアップしていきたい」と説明した。

=2017/09/01付 西日本新聞朝刊=

→電子版1周年記念!1万円分賞品券やQUOカードが当たる!!

西日本新聞のイチオシ [PR]

西日本新聞のイチオシ [PR]