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路面電車なぜ長生き? 明治、大正生まれも

1951年製で、毎日運行している長崎電気軌道の路面電車(211形212号)=8月、長崎市の新中川町電停
1951年製で、毎日運行している長崎電気軌道の路面電車(211形212号)=8月、長崎市の新中川町電停
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長崎電気軌道の車庫で休む九州最高齢、160形。北九州市や福岡市で走った後、約60年前に長崎へやって来た=13日、長崎市の浦上車庫
長崎電気軌道の車庫で休む九州最高齢、160形。北九州市や福岡市で走った後、約60年前に長崎へやって来た=13日、長崎市の浦上車庫
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 長崎、熊本、鹿児島の3市で市民の足として活躍する路面電車には、還暦の60年を超えても走り続ける車両が多数ある。新幹線は20年ほどで引退するのに、なぜ路面電車は長生きなのか。理由を探ると、人間も学びたい“長寿の秘訣(ひけつ)”があった。

 「製造 S29年1月」。長崎電気軌道の古い電車内には、こんな経歴が掲げられている。

 同社によると営業用74両のうち、60年超の電車は28両。67歳の201、202形、66歳の211形、63歳の300形の計22両は日々、元気に走り回る。明治、大正生まれの車両も残り、106歳の160形や92歳の150形は、昨年の日本人の平均寿命(女性87・14歳、男性80・98歳)を上回る。普段は車庫にいるが、催しの時には元気な姿を見せ、鉄道ファンを喜ばせている。熊本では65歳、鹿児島でも62歳が現役だ。

 人間ならば年金をもらってもいい年齢。第一線で活躍を続ける理由を探ると、二つの共通点があった。

 一つは「シンプルな体」。古い車両は走行機器やブレーキの構造が単純で点検や修理がしやすい。長崎電気軌道が平成に入って導入したバリアフリーの低床車は電子制御になったが「電子部品が壊れると修理はメーカーに頼まなければならない」など、若手は繊細で手がかかるのだという。

 もう一つは「こまめな健康診断」。路面電車の車検に当たる法定検査は3種類。3カ月に1回、車輪や車軸をチェックする「三月検査」、モーターも取り外して確認する4年ごとの「重要部検査」、台車などをばらばらにして調べる8年ごとの「全般検査」があり「見えない所まで調べます」(鹿児島市交通局)。

 長崎では独自に、48時間以内に1回、ブレーキの調子などを確認する「要部検査」を実施、15日に1回は台車の打音検査も欠かさない。熊本や鹿児島も毎日の点検や2カ月ごとの検査で安全運行につなげている。

 特注の少量生産で製造費の単価が高い路面電車。「最新型は1編成2億3千万円。経営体力的に一気に新型へ交換できない」(長崎)という懐事情も高齢化の一因だが「大事に使っていきたい」(熊本市交通局)というのが各市共通の思いのようだ。


=2017/09/19付 西日本新聞夕刊=

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