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医療費免除終了に不安 熊本地震の被災者特例 「生活再建めど付くまで」 9月限り 負担大受診控え懸念

熊本市役所の窓口には被災者の医療費免除の終了を知らせるポスターが張り出されている
熊本市役所の窓口には被災者の医療費免除の終了を知らせるポスターが張り出されている
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 昨年4月の熊本地震で、自宅が全半壊した国民健康保険加入者などを対象に続けられてきた医療費の自己負担免除が9月末で打ち切られる。国による財政支援の特例措置が終了するためだ。同様の措置が取られた東日本大震災の被災地では、終了後に受診控えがあったとの調査結果もあり、熊本の被災者からは「生活再建のめどが付くまで継続を」との声が上がる。

 「これからが不安」。熊本市の病院の一室で中島浩美さん(46)が漏らした。震度7を2度観測した同県益城町の自宅は全壊。みなし仮設のアパートに入ったが、今年4月に右脚の炎症で入院を余儀なくされた。

 地震前から持病で通院。入院も加わったことで、国保に加入する中島さんの窓口負担(3割)は膨らんだ。10月からはこの支払いが自己負担になる。中島さんは「せめて新しい家に移るまで免除を続けてほしい。健康あってこその復興だから」と訴える。

 県によると、県内の昨年度の特例措置による国保の自己負担免除額は約40億円。当初は国が全額を補助したが、国が補助率を下げた今年3月以降は県が交付金で補い、国保を運営する市町村の負担をゼロにしてきた。国は過去の震災対応などを踏まえて、9月末での特例措置終了を決定。市町村は財政負担が避けられないため相次いで免除の打ち切りを決めた。

 市町村の台所事情も苦しい。益城町は国保加入者約8600人のうち免除対象が約5700人に上る。地震前から国保財政は厳しく、町担当者は「復興事業が多く、一般会計からの繰り入れも困難」と明かす。

 東日本大震災の被災地では、国の特例措置終了後も岩手県の全自治体や福島、宮城両県の一部自治体で、県や市町村の負担による医療費免除を続ける。

 宮城県の免除終了地域で県保険医協会が実施した調査では、通院していない被災者の約半数が、理由に自宅再建の出費などによる「経済的苦しさ」を挙げた。熊本学園大の高林秀明教授(地域福祉論)は「地震後に健康状態が悪化した被災者は多い。免除終了は受診抑制を招く」と懸念する。

■震災関連死の6割が呼吸器・循環器疾患 熊本県調査

 熊本県は20日、昨年4月の熊本地震で県内の市町村が震災関連死と認定した189人の死因について、肺炎など呼吸器系疾患と、心不全やくも膜下出血など循環器系疾患がそれぞれ約3割を占めたことを明らかにした。

 県によると、全体の約8割が70代以上で、約9割に既往症があった。死亡時期は約9割が地震から3カ月以内だったという。県は市町村から関連死認定者の情報を集約しており「最終結果を取りまとめ、公表の方法などについて検討する」としている。

=2017/09/21付 西日本新聞朝刊=

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