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立野長期避難解除へ 南阿蘇 11月から居住可能に

 昨年4月の熊本地震の影響で、全357世帯が被災者生活再建支援法に基づく「長期避難世帯」に認定されている熊本県南阿蘇村の立野地区について、村は30日の住民説明会で、10月末での認定解除を県に申請することを明らかにした。解除後は地区での居住や住宅再建が可能になる。

 立野地区では8月末に村中心部につながる阿蘇長陽大橋が復旧し、水道も仮復旧した。長期避難世帯認定の要因の一つだった崩落した山腹の復旧工事は3年ほどかかる見込みだが、早期避難の徹底などで対応する。吉良清一村長は「工事完了を待てば地区の再生が遅れる。梅雨と台風で災害は起きなかったので、同程度の雨では安全だと判断した」と説明した。

 立野地区の多くの世帯は隣接する大津町などの仮設住宅やみなし仮設に入居しており、解除後も2年の期限内は入居継続を全世帯に認める方針。

■1年半ぶり帰郷 土砂災害懸念も

 熊本地震から1年半ぶりに故郷に帰れることになったが、熊本県南阿蘇村立野地区の住民の間に手放しで喜ぶ空気はない。長期避難世帯の解除方針が示されたものの、山の斜面の安全対策は道半ば。既に村外で自宅再建を決めた人もおり、地震が深い爪痕を残した集落の将来像は見通せない。

 「ようやくスタートラインに立った」。区長の江藤俊雄さん(67)は安堵(あんど)の表情を浮かべた。解体した自身の自宅は再建のめどが立たないが、「早く帰りたい人がいるので、どこかで踏ん切らないといけない。戻れる人から戻って、少しでも地域を再生させたい」。

 一方、崩落した斜面の復旧完了は2020年度末の見込み。村は避難所の安全対策などを進めるが、住民説明会では「想定外の災害が起きるのでは」「命懸けで住まないといけない」と不安の声が相次いだ。

 2月に村が行った調査では、立野地区住民で村内での自宅再建を希望する人は半数に満たなかった。熊本市に避難中の中尾真澄さん(76)は「地震直後は帰りたいと思っていたが、大雨や台風のたびに避難する生活はもう体が持たない」と同市での自宅再建を決めた。村幹部は「一定の人口流出は覚悟しないといけない」と苦渋の表情を見せた。

=2017/10/01付 西日本新聞朝刊=

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