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未署名日本の姿勢問う 核禁止条約 政府高官、受賞に言葉濁す

 核兵器禁止条約の制定に大きな役割を果たした「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)のノーベル平和賞受賞決定は、国際社会に核兵器廃絶の努力を促すメッセージを放った。日本政府は同条約に署名しておらず、唯一の戦争被爆国として、その姿勢を改めて問われることになる。

 「これに関してはコメントできない。受賞して良かったとは言えない」。政府高官は6日夜、ICANの平和賞受賞に言葉を濁した。この日、安倍晋三首相による祝福の談話が出ることもなかった。

 日本政府は「核兵器のない世界」を提唱しながら、米国の「核の傘」に守られるジレンマを抱える。北朝鮮情勢が緊迫する中、核兵器を非合法化する条約に賛同すれば、核の傘の有効性を自ら揺るがしかねないとの事情があり、条約の交渉にも加わっていない。

 安倍首相は8月に広島市での平和記念式典に出席した際、条約に関し「核兵器国と非核兵器国の立場の隔たりを深め、核兵器のない世界の実現をかえって遠ざける」との認識を示した。政府は、核保有国と非保有国の有識者で核軍縮を論じる「賢人会議」を設立し、11月末に広島市で初会合を予定。核兵器廃絶に向けて、双方の「橋渡し役」になるとの立場を強調している。

 しかし、こうした姿勢は被爆者の理解を得ていない。8月9日の長崎原爆の日には、長崎市を訪れた安倍首相に被爆者が「あなたはどこの国の総理ですか」と問い掛ける場面もあった。

 ICANとともに条約制定に向けて活動してきた日本原水爆被害者団体協議会(被団協)は、これまでも「核兵器廃絶をうたいながら条約に反対するのは、明らかな矛盾で理解できない」として、政府や与野党に批准、署名を求める活動を続けてきた。6日、東京都内で記者会見した田中熙巳代表委員は、ICANの受賞を「核廃絶に向けた世界的な運動に力を与える」と評価しつつ「われわれは日本の市民として日本政府が変わることを、これまで以上に求めていかなければいけない」と力を込めた。

=2017/10/07付 西日本新聞朝刊=

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