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長崎の被爆者「報われた」 草の根これからも ICANに平和賞

ICANがノーベル平和賞に決まり、故谷口稜曄さんらの遺影を手に取材に応じる田中重光・長崎原爆被災者協議会長(左)=6日午後6時すぎ、長崎市
ICANがノーベル平和賞に決まり、故谷口稜曄さんらの遺影を手に取材に応じる田中重光・長崎原爆被災者協議会長(左)=6日午後6時すぎ、長崎市
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 「ヒバクシャ」にも贈られた賞だ-。核兵器禁止条約の採択に貢献した国際非政府組織(NGO)、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)がノーベル平和賞に選ばれた6日、連携しながら核兵器の非人道性を訴えてきた被爆者は、喜びと同時に「真の目標」を口にした。「今こそ、核なき世界を実現するときだ」と。

 これまで、有力候補とされた日本原水爆被害者団体協議会(被団協)の受賞はならなかった。構成団体の長崎原爆被災者協議会(長崎市)で発表を見守った被爆者らは、それでも拍手を送った。

 「ICANへの授賞は、これまで核廃絶に取り組んできた被爆者にも贈られたものだ」。この日、8月末に亡くなった被災協会長、谷口稜曄(すみてる)さんの後任に決まった田中重光さん(76)は、涙ぐみながら語った。

 かつて被団協代表委員や被災協会長を務めた山口仙二さん(2013年死去)や谷口さんの活動を支えてきた被災協副会長の横山照子さん(76)も笑顔で「天国の皆さんに、一緒に戦ってきた団体の受賞が決まったよ、活動が報われましたよと伝えたい」。語り部を続ける同理事の下平作江さん(82)も「被爆者は高齢。被団協受賞を期待していたので残念な気持ちもあるけど、仲間の団体に決まってうれしい」と語った。

 今年6月、米国連本部での禁止条約交渉会議に合わせて渡米、ICAN関連団体のイベントで核廃絶を訴えた語り部の三瀬清一朗さん(82)は「ICANがあったからこそ、国連や世界各国で被爆体験を話し核廃絶を訴えてこられた。被爆者と世界を橋渡しする国際的なネットワークはすごい」。

 昨年10月のノーベル平和賞の発表を被災協で見守った谷口さん。被爆者団体の名前は呼ばれず、記者が姿を消すと、小声で「やっぱり、欲しかね。ノーベル賞をもらうと運動のプラスになるのに」とこぼした。

 それほど、運動は危機を迎える。被爆者の平均年齢は81歳を超え、被災協会員はピーク時より2万人少ない約1万人。「2人のように強烈な被爆体験のない自分たちが後を継ぐのはしんどい」との声も上がる。

 そんなタイミングでのICAN授賞決定に、田中さんは期待する。「条約に参加しない国を動かすプレッシャーになる。被爆者なき時代に非核や非戦を世界に訴える新たな象徴にもなる」

 田中さんは、谷口さんと山口さん2人の遺影を抱き、宣言した。「本当の核廃絶のために、これからも草の根で訴えていく。戦い抜く」

=2017/10/07付 西日本新聞朝刊=

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