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子ども医療費市町村競う 中高生の入院費、九州の8割助成 人口減歯止め狙う

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 全国の自治体で子どもへの医療費助成が急拡大している。九州では2016年、中学生や高校生まで広げて入院費を助成する市町村が全体の約8割の178市町村に上り、5年前の約3倍に急増。全国では全市区町村の9割を占めており、一部の自治体では大学生にも広げている。支援拡大の背景には人口減少が加速する中で、子育て世代を呼び込もうと腐心する自治体の姿がうかがえる。

 国の医療保険制度では、入院費や通院費の自己負担の割合は未就学児が2割で、小学生、中学生、高校生は3割。市区町村などは自己負担分の一部、全額を助成している。

 西日本新聞が厚生労働省の資料を基に集計したところ、九州で入院費を助成しているのは16年4月時点で全233市町村のうち、中学生までが143市町村、高校生までが35市町村。福岡県添田町や熊本県山都町など94市町村は所得制限を設けずに自己負担分を全額助成し、無償化している。

 通院費の助成も広がっている。中学生や高校生まで助成する九州の市町村は16年、全体の約6割の134市町村に上り、5年前の約3倍となった。

 九州では、入院費、通院費ともに高校生までの助成は11年までゼロだったが、16年は計68市町村にまで広がった。

 全国では、九州よりも助成が進んでいる。中学生や高校生までの入院費の助成は全体の約9割の1569市区町村。通院費の助成も1384市区町村と約8割に上っている。

 過疎地を中心に人口減少への危機感が高まっており、子育て支援を競い合う形となっている。

 ただ、小規模自治体にとって財政負担になりかねない。離島の鹿児島県徳之島町は「助成拡大は検討しているが、財政的に苦しい」。一方で、人口約1500人の熊本県産山村は「子どもの数も少ないので財政を圧迫することはない」と高校生までの全額助成に踏み切った。

 助成拡大で子どもが受診しやすくなれば、軽症者がコンビニへ行くような感覚で救急医療機関を利用する「コンビニ受診」増加の懸念も広がる。高齢化の影響で年々増え続け、15年度に41兆円に上る医療費の増加要因になる恐れもある。

 全国保険医団体連合会(東京)は「福島県では無料化の前後で、子どもの医療費は横ばいだった。群馬県でも時間外診療はむしろ減少した」と強調。九州大医学研究院の馬場園明教授(医療政策)は「高齢者医療に傾いている社会保障が、子どもの医療にも手厚くなる。高齢者でも子どもでもない層にとって公正公平な仕組みと言えるのか。立ち止まって医療費助成の在り方を議論すべきだ」と指摘する。

=2017/10/08付 西日本新聞朝刊=

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