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旧大名小、地場3社熱視線 福岡市都心再開発 西鉄、JR九州、福岡地所 面積、高さ緩和魅力

福岡市中央区の旧大名小跡地(中央)。ビル街にグラウンドや校舎が残る=3月、本社ヘリから
福岡市中央区の旧大名小跡地(中央)。ビル街にグラウンドや校舎が残る=3月、本社ヘリから
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 福岡市都心部の再開発事業「天神ビッグバン」の中核となる旧大名小跡地(同市中央区)について、市は今月中に再開発を担う民間事業者の公募を開始、九州一の商都・天神に隣接する「商業の超一等地」の再開発が本格的に動きだす。市の公募要綱公表を待たず、西日本鉄道とJR九州が入札への参加に名乗りを上げた。検討中の福岡地所も含め、地場大手を中心に民間企業から熱い視線が集まっている。

 「総力を挙げてチャレンジしたい。入札します」。JR九州の青柳俊彦社長は9月末の記者会見で、旧大名小跡地の再開発事業の入札に、力強い口調で名乗りを上げた。

 ある不動産関係者は「JR九州は意外だった」と驚きを隠さない。天神は西日本鉄道、博多はJR九州-。福岡市都心部の開発を巡っては、これまで西鉄福岡(天神)駅とJR博多駅を中心に両社のすみ分けができていた。この関係者は「JR九州は天神進出を遠慮していた。暗黙の了解があったはずだが…」と話す。

 迎え撃つ形となった西鉄は負けるわけにはいかない。JR九州の会見の翌日、西鉄幹部が西日本新聞の取材に応じ、入札に参加すると正式表明した。天神への愛着は強く「西鉄の収益以前に、いい街づくりのお役に立ちたい」と強調する。

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 九州最大の商都、天神に隣接する旧大名小跡地は「商業の超一等地」とされる。

 福岡市では博多区のキャナルシティ博多や博多リバレインモール、JR博多駅周辺、中央区の九州大学六本松キャンパス跡地など大型の開発が続いたが、地元不動産関係者は「商業地のど真ん中で、これだけの大型再開発は初めて」と指摘する。

 立地に加え、約1・2ヘクタールと敷地も広い。さらに国家戦略特区の特例として、建物の高さが約76メートル(17階建て相当)から約115メートル(26階建て相当)まで緩和された。市が期待する、高級ホテルやオフィスに公共施設を組み合わせる複合開発には魅力的な条件だ。

 「オフィスとしては2~3等地」(不動産関係者)との指摘もあるが、福岡市ではオフィス物件の供給不足が続いており、ITなどの新興企業を中心に需要があるとの見方が強い。

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 JR沿線を中心に開発を手掛けてきたJR九州は、沿線外の同市・六本松の再開発事業で複合施設をオープンさせたばかり。「西鉄も博多でバスセンターやホテル事業を行っている。うちも天神でやる」(幹部)。一気に攻め込む考えだ。

 西鉄は旧大名小跡地を、天神の大型再開発プロジェクト「天神ビッグバン」の西の玄関口と位置づける。8月には大手アパレルメーカーのオンワード樫山から隣接地を取得、隣の西鉄グランドホテルと合わせ、一体的な開発も視野に入れる。「交通量が多い明治通りと独自の文化を持つ大名に面していて魅力がある」(幹部)

 複数の関係者によると、キャナルを開発した地場デベロッパー、福岡地所も入札に加わり、福岡の開発をけん引する地場大手3社の争いが確実視される。国内や外資の大手企業も関心を示している。

 一方で、ある国内大手の関係者からは「突然、土地が賃貸になるなど、福岡市の思惑が分からないので怖さがある」との声も漏れる。公募開始後の民間企業の動向に注目が集まる。

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 高級ホテル、オフィス機能も 福岡市要請へ 事業者決定は来年3月

 福岡市は旧大名小跡地について、災害時の避難場所としても使える広場や公共施設を確保した上で、市内に不足している高級ホテルやオフィス機能を備えるよう開発事業者に求める考えだ。来年1月を入札期限とし、3月に優先交渉権者となる事業者を決定、2021年ごろに開業するスケジュールを描く。

 14年3月に閉校した大名小は、市内で最も歴史ある小学校の一つ。公募要綱には、地域住民の意見を踏まえ(1)一般に開放する広場(3千平方メートル)(2)旧大名小の歴史を紹介するギャラリーを含む多目的空間(3)講堂や学習室を備えた公民館や老人いこいの家(4)消防分団の車庫-などの整備を必須機能として明記する。

 国は今年7月、航空法による建物の高さ制限を約115メートルまで緩和。容積率は550%で、客室にゆとりがあるホテルや大規模オフィス、保育施設などの具体的な提案があれば、最大800%まで引き上げを認める。

 広さ約1・2ヘクタールの跡地は、事業者に50~70年間貸し付ける。現在、校舎内で運営する創業支援施設「福岡グロースネクスト」は当面10年間は継続させる。南側校舎の敷地は市が事業者から転借し、校舎は市が継続所有する。

 入札締め切り後、大学教授や行政関係者ら7人でつくる評価委員会の評価を参考に、市が事業者を決定する。市住宅都市局は「地域活動の場を確保しつつ、多様な人材、企業が集まるような魅力的な街づくりを提案してほしい」としている。

=2017/10/16付 西日本新聞朝刊=

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