「20年」救済格差に一石 B型肝炎訴訟福岡地裁判決

福岡地裁の判決を受けて「勝訴」の旗を掲げる弁護士=11日午後1時12分、福岡市中央区
福岡地裁の判決を受けて「勝訴」の旗を掲げる弁護士=11日午後1時12分、福岡市中央区
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 慢性肝炎の損害の起算点を、再発時に繰り下げることで満額の賠償金を支払うよう国に命じた11日の福岡地裁判決は、発症から20年を境に生じていた「救済格差」に一石を投じた。「やっと認められた」「正義と道理にかなう判決だ」。原告の男性は胸をなでおろし、B型肝炎訴訟の弁護団も「時間の壁」に立ち向かう大きな一歩と評価した。

 「泣きそうなほどうれしかった」。福岡市内で記者会見した原告の60代男性はほっとした表情を見せた。

 男性が慢性肝炎を発症したのは1991年。軌道に乗り始めたばかりの事業を廃業せざるを得なかった。一度症状が治まったが2004年に再発。投薬治療を続けてきた。症状に応じて国が給付金を支給する特別措置法が施行された12年に提訴したが、最初の発症から21年が過ぎていた。

 同法では賠償請求権が消滅する除斥期間を踏まえ、発症から20年で給付額に大きな差が設けられた。慢性肝炎の場合は1250万円だが、20年を超えると300万円か150万円。男性は「あと1年病院に行くのを我慢していれば満額が支払われていたのか。こんな理不尽があっていいのかと思った」と語る。

 今回の地裁判決は「再発で質の異なる新たな損害が生じた」と判断し、除斥期間の起算点について発症時から再発時に繰り下げた。

 弁護団によると、発症から20年超の慢性肝炎の原告は全国に約250人。そのうち、再発時を起算点とするように求めているのは約80人いる。ほかにも大阪地裁では20年以上前に肝硬変を発症し、その後新たな合併症を発症した患者が、合併症発症時を起算点として賠償を請求している。弁護団は「今回の判決を生かして、救える患者は相当数存在する」と強調する。

 弁護団の最終目標は除斥期間適用の撤廃。九州訴訟弁護団の小宮和彦代表は「患者に責任はないのに、時間の経過だけで救済に差が出るのはおかしい。今後も闘い続ける」と力を込める。

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 九州弁護団は12、13の両日午前10時~午後4時、相談窓口「B型肝炎110番」を設ける。092(883)3345。

=2017/12/12付 西日本新聞朝刊=

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