最強の自学AI開発 チェスや将棋でも グーグル傘下企業が論文

 人工知能(AI)の技術で世界最強の囲碁ソフトを開発した米グーグル傘下の英ディープマインド社が、チェスと将棋のソフトが自己対戦を重ねるだけで既存の最強ソフトを上回る力を身に付けたと論文で発表した。AIが独学で知識を身に付け、新しい発見や技術を生み出す可能性を示す研究として注目されている。

 同社の囲碁ソフト「アルファ碁」は昨年、世界トップクラスの韓国人棋士に圧勝して話題を集めた。改良型を経てさらに進化した「アルファ碁ゼロ」が最新の最強ソフトとなる。

 今月5日付で公表された論文によると、同社は「ゼロ」の手法を応用してチェスや将棋の最強ソフトを開発。従来はプロ棋士らによる過去の膨大な棋譜を「教師データ」として学ばせたが、「ゼロ」はそうした過程を経ず、基本的なルールを覚えさせ、自己対戦を繰り返すだけで強くなった。

 今年の世界コンピュータ将棋選手権優勝ソフト「エルモ」、昨年のチェス世界チャンピオンソフト「ストックフィッシュ」と100局対戦させた結果、前者に90勝8敗2分け、後者にも28勝0敗72分けと大きく勝ち越した。

 黒石と白石を交互に盤面に打つ囲碁に対し、将棋やチェスは数種類の駒が盤上に並び、ゲーム自体が異質なため、形勢判断に同じ手法を使うのは困難とみられていた。だが、次の一手を選ぶ機能と形勢を判断する機能を統合し、効率化を図ることで解決したという。

 「アルファ碁ゼロ」について、同社は今年10月、英科学誌ネイチャーの掲載論文で発表していた。囲碁、将棋両方のAIに詳しい電気通信大の伊藤毅志助教(認知科学)は「将棋やチェスでも同じ手法で強くなるとは意外だった。教師データが要らないのは画期的で、人間の知識が及ばない分野でも新しい発見を生む可能性を秘めている」と話している。

=2017/12/26付 西日本新聞朝刊=

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