療養費を不適切受給 高齢者医療制度 福岡の事業者、施術所実態ない疑い

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 75歳以上の後期高齢者医療制度を使った高齢者宅や施設への訪問マッサージ事業を巡り、福岡市の事業者が福岡県後期高齢者医療広域連合から不適切な療養費の支給申請をした疑いを指摘され、受給した計約1億6900万円を返還していたことが2日、分かった。県内の施術所8カ所のうち7カ所に運営実態がなかった疑いがあるという。元従業員は西日本新聞の取材に「療養費の大半を占める出張料についても、水増し申請が常態化していた」と証言。広域連合は調査を続け、全容解明を目指す。

 広域連合によると、不適切と指摘したのは、7カ所の施術所を拠点に出張して訪問マッサージを行ったとした2012年8月から15年10月までの療養費申請で、計4928件。

 この事業者は福岡、佐賀、大分各県でマッサージ事業を行っていたが16年2月に同事業から撤退。その後、佐賀県内の施術所に運営実態がないのに、487件分で計約1360万円の不正申請をしたとして、同県の広域連合から全額返還請求処分を受けた。

 福岡県の広域連合は、佐賀県の広域連合からの情報提供を受け、16年2月に調査に着手。福岡県内の7カ所でも実態がなかった疑いがあるとして、事業者の元代表の40代男性に確認したところ、療養費申請の取り下げを申し出て計約1億6900万円を返還した。元代表は「実際の施術に関する実務は把握しておらず分からない」と話したという。

 厚生労働省の通知で、訪問マッサージは施術所から片道16キロ以内しか原則認められない。元従業員は「元代表の指示で、訪問エリアを広げるために古い安アパートなどを借り、施術所として登録した」と証言した。実際は、唯一実態があった施術所から出張するケースが大半だったという。

 一方、元代表は西日本新聞の取材に、佐賀、福岡各県の広域連合が認定した不正や不適切な申請自体を否定。「何のことか分からないので答えられない」と語り、水増し申請についても否定した。

【ワードBOX】訪問マッサージの療養費

 医師から歩行困難で治療上マッサージが必要と認められた後期高齢者が、指圧師による訪問マッサージを受けた場合、料金の自己負担分は基本1割で、残りは「療養費」として都道府県後期高齢者医療広域連合から支給される。事業者が高齢者から自己負担分を、広域連合から残りを受け取る「代理受領」が一般的。療養費は施術料(1局所285円)に出張料(往療料)を加えた額。出張料は移動距離に応じて1800~4110円と療養費の大部分を占めるため、水増し申請が問題化している。

=2018/01/03付 西日本新聞朝刊=

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