教員の働き方模索 教研集会実態報告 部活の伝統、地域貢献も負担に 「当たり前を見直す時」

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 国際的にみても深刻な水準にある日本の教員の長時間労働。静岡県内で開かれている日教組の教育研究全国集会でも3日、疲弊する学校現場の実態や改善の取り組みが報告された。2020年度からの新学習指導要領の導入で授業数の増加が見込まれる中、膨れ上がる教員の業務にどう歯止めをかけるか。教員たちは、学校の「『当たり前』からの脱却」を訴えた。

 「慣習や『こうあるべきだ』という体質にとらわれてはいけない」。カリキュラムに関する分科会で、岩手県の公立小に勤務する50代男性教諭は語気を強めた。勤務校はマーチングバンドの強豪校。小学校にもかかわらず、平日は週4日の練習と、土日の大会引率などで、月の時間外労働が80時間を超える教員が複数いる。休日勤務の代休を取らせれば、代わりに授業をする校長や教頭の業務が増え、負の連鎖が続いている。

 同校では本年度、期末など繁忙期に高学年を「5時間授業」にして削減分を予備枠に振り替えるなど大胆なカリキュラムの組み替えを実施したほか、時間外の校内行事の見直しや出席簿の簡略化などにも取り組んだ。小さな効果は出てきているが、“本丸”のマーチングバンド活動には手を付けられていない。その大きな壁となっているのが、「伝統」や「地域貢献」を大切にしなければならないという教員らの意識だ。

 教諭は「全校児童の1割に満たない人数の活動に、教員がここまでするべきなのか。当たり前を見直す時期にきている」と話す。

 これに対し、会場からも同様の意見が相次いだ。福島県の50代の男性教諭は「『わが校の伝統』とよく言うが、実際たいした伝統はないことも多い」とし、「なぜやめられないのか、根本から話し合うべきだ」と主張。北海道の40代男性教諭も「この業務や行事は本当に自分たちの仕事か、常に考えながらやっていきたい」と話した。

 議論は昨年12月に中央教育審議会が「仕分け」した学校と教員の仕事=図=についても及んだ。多くの教員が内容を評価する一方、「地域事情などもあり、すぐに実践できるかは疑問」との声も出た。

 別の分科会では、鹿児島県の公立小に勤める前田庸介教諭(37)が発表。教員の時間外労働の状況すら把握されていなかった状態から、労働組合として学校側と粘り強く交渉し、夏休み期間中の出勤日を1日減らしたほか、校内の研修時間を短縮するなどの成果を上げた事例を紹介した。

【ワードBOX】教員の勤務実態と働き方改革

 経済協力開発機構(OECD)が2013年に34カ国・地域の中学校教員を対象に行った調査では、日本の1週間の勤務時間は53・9時間で、参加国中で最長だった。文部科学省が昨年4月に公表した教員勤務実態調査(16年度)でも、小学校教諭の約3割、中学校教諭の約6割が、月平均80時間が目安の「過労死ライン」を上回った。中央教育審議会(中教審)は昨年12月に中間報告をまとめ、勤務時間の上限を示し、教員の業務の一部を地域や自治体などに担わせるべきだ、などと指摘した。

=2018/02/04付 西日本新聞朝刊=

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