翼接合部飛行中破損か 陸自ヘリ墜落 欠けた状態で発見

陸自ヘリ墜落現場から約500メートル離れた水路で回収された主回転翼。根元部分には機体と翼をつなぐメインローターヘッドの一部が残されていた=7日、佐賀県神埼市
陸自ヘリ墜落現場から約500メートル離れた水路で回収された主回転翼。根元部分には機体と翼をつなぐメインローターヘッドの一部が残されていた=7日、佐賀県神埼市
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 佐賀県神埼市の住宅に陸上自衛隊のAH64D攻撃ヘリコプターが墜落、炎上した事故で、陸自は8日、現場から約500メートル離れた水路で見つかったメインローター(主回転翼)の根元部分に、回転軸に固定する「メインローターヘッド」の一部が残っていたことを明らかにした。現場の住宅敷地内で陸自が同日、回収したヘッドは、主回転翼との接合部の一部が欠けていた。陸自は何らかの不具合で飛行中にヘッドが破損、分離した可能性があるとみて調べている。

 陸自によると、ヘッドは回転軸に取り付けられ、エンジンの動力を主回転翼に伝える役割を果たす。十字形で、アルミ合金製の主回転翼(長さ635センチ、幅51センチ、重さ70キロ)を四方から差し込み、各翼をボルト1カ所とピン2カ所で固定する。今回、事故機はヘッドを初めて交換した直後だった。

 主回転翼は4枚のうち2枚が現場で確認され、1枚はヘッドの一部が付いた状態で水路で発見された。残る1枚は不明という。一方、住宅敷地内で回収されたヘッドは、主回転翼との接合部4カ所のうち、少なくとも1カ所が欠けていた。

 主回転翼やヘッドがばらばらに発見、回収された点に関し、山崎幸二陸上幕僚長は「上空で分離して落ちた可能性がある」と言及した。

 陸自によると、事故機は目達原(めたばる)駐屯地(同県吉野ケ里町)から離陸後、福岡県久留米市に向かう「本経路」ではなく、佐賀市方面の「予備経路」を飛んでいた。経路選択は風など気象状況で操縦士が判断しており、事故機が予備経路を選んだ理由は調査中という。

■整備ミス、欠陥の可能性

 事故機の部品回収が進み、4枚のメインローター(主回転翼)を固定する十字形の「メインローターヘッド」の一部が飛行中に破損、分離していた可能性が出てきた。識者は、その原因として整備ミスやヘッド自体の欠陥などが考えられると指摘する。

 陸上自衛隊によると、ヘッドは飛行1750時間ごとに交換する規定で、事故機では所属する目達原駐屯地で新品に交換したばかりだった。ヘッド自体は多くの部品でできているが、納入時は十字形に組み立てられた完成形。整備では主回転翼などと接合する作業を行ったという。

 「ヘッド交換時の整備ミスが原因ではないか」とみるのは航空評論家の青木謙知氏だ。青木氏によると、ヘッドの取り付けでボルトが緩んだり締めすぎたりすると離陸、上昇した際に機体のバランスが崩れ、主回転翼に異常な圧力がかかるという。「ヘッドが圧力に耐えきれず折れたり、割れたりすることはあり得る」という。

 一方、民間ヘリの元整備士は「ヘッドそのものが不良品だった可能性が高い」との見方を示した。元整備士によると、主回転翼に残っていたヘッドの一部は、翼の角度を変える可動部分。「軸から抜けて外れているように見える。メーカー側のヘッドの組み立てミスではないか。整備点検時に異常な兆候が出るはずだが見落としたのだろうか」と推測した。

■軽傷の女児「音が怖い」 父親コメント、自衛隊に不信感

 陸上自衛隊の攻撃ヘリの墜落現場となった住宅に1人でいて軽傷を負った女児(11)の父親川口貴士さん(35)が8日、「大きな音に敏感になっており、『怖い』と言っている」と女児の様子を伝えるコメントを出した。

 報道機関の質問に対し、県警を通じて書面で公表した。女児が右膝に負ったけがは回復に向かっているが「精神的な問題が気掛かり」と女児を気遣った。墜落したヘリは、定期整備を終えて臨んだ試験飛行の最中に事故を起こしており「なぜ試験飛行で小学校、幼稚園、民家があるような場所を飛行したのか」と自衛隊への不信感をあらわにした。

 家族全員が大きなショックを受けているといい「一刻も早く平穏な生活に戻ることを願っている」と訴えた。

=2018/02/09付 西日本新聞朝刊=

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