ヘアカット怖くないよ 飯塚の麻生さんが発達障害児対象の出張美容室 子育てで経験「人の役に」

発達障害児を対象にした出張ヘアカットを始める麻生まどかさん=福岡県飯塚市
発達障害児を対象にした出張ヘアカットを始める麻生まどかさん=福岡県飯塚市
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 じっとしていることやコミュニケーションが苦手な発達障害児の散髪をする「出張ヘアカット」を、福岡県飯塚市の美容室「モンナンジュ」が7日から始める。わが子の発達障害で悩み、つらかった時、多くの人に助けてもらったという麻生まどか代表(31)が「私も困っている人の役に立ちたいから」と、新たな一歩を踏み出した。

 麻生さんは熊本県八代市出身。福岡市の美容専門学校を卒業後、筑豊地区の美容室で働いた。25歳で出産。長女の茉那さん(6)は2歳半の時、保育園であった飯塚市の巡回相談で「発達障害の疑いがある」と言われた。スーパーで突然ぐずり、泣き叫ぶと「しつけが悪い」と言う周りの客の声が聞こえる。分かり合える相手がおらず孤独に思うこともあったが、病院の言語聴覚士や臨床心理士に励まされ、支えられてきた。

 発達障害児はバリカンやドライヤーの音に驚いてパニック状態になったり、知らない店に入ると恐怖を感じたりすることがある。理容室や美容室に連れて行けず、自宅で散髪する保護者も多い。美容師の麻生さんは自宅で茉那さんの髪を切っていたが、前髪を切ることを極端に怖がり、暴れることも多々あったという。

 昨年、京都市で発達障害児を対象にした「スマイルカット」と呼ばれる散髪があることを知った。「全国に広がってはいるが、数はまだ少ない」(日本自閉症協会)。麻生さんは「飯塚でも広げたい」と、今年2月、京都で講習を受けた。保護者と電話やメールでやりとりを重ね、子どもの状況を確認。不安を極力抑えるため「今から髪を切るよ」と声を掛け、散髪の手順を示した絵を見せ、残り時間が一目で分かるよう時計も近くに置いておく。

 子どもたちに寄り添い、ヘアカットが怖くないことを伝えられたら-。「髪を切ることで少しでも心が楽になれば。医療的ケアが必要な子どもにも、おしゃれを楽しんでほしい」。そんな思いで、はさみを握る。

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 価格は出張費込みで5千~6千円。遠方は要相談。

=2018/05/03付 西日本新聞朝刊=

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