受刑者は「金の卵」 神戸刑務所で面接会、内定好調 人手不足の中、資格も武器に「売り手市場」

 受刑者の更生のため出所前に職を確保する機会をつくろうと、神戸刑務所(兵庫県明石市)が受刑者を対象にした就職面接会を開いている。人手不足が深刻な土木業界など企業側のニーズとも一致し、この1年半で延べ57社が参加。採用内定を得た受刑者は58人に上る。出所者を「金の卵」と呼ぶ会社もあり、企業側が待遇をアピールする「売り手市場」となっている。

 神戸刑務所の就職面接会は2016年8月、全国初の取り組みとして始まった。地元のハローワークの協力を得て企業に声を掛け、土木や介護など6社を集めた。残りの刑期が少なく、就労意欲がある受刑者11人が参加し、うち8人が内定を得た。

 17年度末までに計5回開いた。参加企業は徐々に増え、今年2月には19社に上った。刑務所の体育館に企業ごとのブースを設け、刑務所の就労支援スタッフに背中を押されるなどして、受刑者が希望する企業の面接を受けている。

 受刑者によって異なる出所時期に対応するため、本年度は5月から毎月開催になった。就職しても長続きしないなどの課題もあるため、担当者は「参加企業を10社程度に絞り、受刑者のニーズにマッチさせ、定着率の向上も図りたい」と意気込む。

 好調な内定実績の背景にあるのは深刻な人手不足だ。土木や建設業界では出所者を「金の卵」と呼ぶ会社も。面接会では、人事担当者が寮の居住性や食事の内容などの待遇をアピールする姿が見られる。

 関西に本社がある建設会社は約8年前から、従業員確保のため各地の刑務所に出向く。人事担当者は「土木、建設の資格や技術を持ち、思いがけない出来事で刑務所に入ってしまったような人も少なくない」。

 出所の際は刑務所まで迎えに行き、事務所に連れて行く。道中で逃げ出したり、働き始めてすぐに辞めたりする人もいるが、寮生活の従業員約80人のほぼ半数が元受刑者という。

 受刑者更生の協力者だった企業側の立場は今や逆転気味。人事担当者は「以前は面接で緊張し『頭の中が真っ白になった』と言う受刑者もいたが、最近は態度に余裕がある」と言うと、こう漏らした。

 「受刑者が企業を選ぶ時代になった」

=2018/05/13付 西日本新聞朝刊=

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