日田、仮設道路開通 自宅へ車列、思い複雑 [大分県]

大規模な土砂崩れの斜面と押しつぶされた民家の間を通る仮設道路=15日午後0時6分、日田市小野地区
大規模な土砂崩れの斜面と押しつぶされた民家の間を通る仮設道路=15日午後0時6分、日田市小野地区
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 日田市小野地区の土砂崩れ現場で、土砂に埋まっている県道を迂回(うかい)する仮設道路が15日完成し、住民が自宅に戻った。「ようやく戻れる」と喜ぶ声がある一方、「また少しの雨で崩れるのでは」と今後の生活に不安を抱える住民もいた。

 この日正午、通行止めが解除されると、自宅へ向かう住民たちの車が連なった。仮設道路は全長300メートル、幅6メートル。市道を経由して再び県道に接続する。12日に復旧した、大鶴地区を迂回して小野地区に入るルートは市街地から車で1時間ほどかかるが、仮設道路の開通で20分ほどでつながる。

 5日以降、5カ所の避難所を転々とし、10日ぶりに自宅に戻った鈴連(すずれ)町の井下忠芳さん(66)は「ゆっくりできて、少しは気が休まる」とほっとした表情。殿町の会社員田中浩介さん(56)は地元消防団員として自宅に孤立したお年寄りを避難場所に誘導。自らも地区に残り、9日に救出されて以降、知人宅に身を寄せていた。「地元で仲間に会うのは久しぶりだから、自宅に戻れるのはうれしい。今日はささやかな祝杯を挙げたい」と笑顔を見せた。

 一方、土砂崩れでできた「土砂ダム」に自宅が漬かった鈴連町の山本一二(いちじ)さん(63)は、無残な姿になった家を見つめ続けた。自宅は5年前の豪雨でも被害を受けており「覚悟はしていたけど、ひどい。長年住み慣れた家を簡単に離れる訳にはいかない。家を守りたいので(今後のことは)状況を見ながら考えたい」と声を落とした。

 開通後すぐに自宅に車を走らせた和田美樹彦さん(48)は、妻祐子さん(38)の実家に家族で避難していた。自宅は無事で「着の身着のまま出てきたので、自宅に戻れてほっとしている」と言いつつ、「雨がまた降れば怖い。もう少し様子を見て、戻るかどうか決めたい」と話していた。

=2017/07/16付 西日本新聞朝刊=

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