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「村八分」是正勧告問題 「孤独を理解してほしい」「集落の和を大事にした」 [大分県]

 県弁護士会が、県北部の集落で母親の介護のためにUターンした男性(68)が「村八分」のような扱いを受けているとして、集落の自治区に平等に扱うよう是正勧告した。男性は他の住民とトラブルとなり、市報の配布先から排除された。UターンやIターンなど移住が進む中、同じようなトラブルはどこにでも起きる可能性はある。いかに円満な人間関係を構築するか。村八分をしたとされる自治区の元区長(65)と被害を訴える男性双方の主張を聞いた。

申し立てを行った男性(68)

 -なぜ、自治区への加入を認められなかったと思う?

 「農地維持のために国が補助金を出す『中山間地域直接支払制度』に絡んで、私が2013年3月、市役所などに問い合わせたのが気に入らなかったのでは。私は09年に母親を介護するために帰郷。11年からは0・3ヘクタールだが、自分の土地で耕作も開始した」

 「しかし、中山間の制度に登録していたのは、06年から10年まで土地を貸して耕作をお願いしていた第三者だった。その後は、私が耕作しているのに第三者にお金が支払われ続けることに納得がいかなかった。だから、当時の区長だった男性(65)に相談した。すると、翌月の集落の会合で自治区加入を認めないばかりか、集落の世帯数を減らして市に報告した。市側からは市報は届かなくなる。現に住んでいるのに居ないことにされた。屈辱だった」

 -市側は代替措置として13年5月から市報を直接郵送しているが。

 「市報は届いているが、集落に居ないことにされているのは変わらない」

 -自治区側は住民票がなかったことを加入を認めなかった理由に挙げている。

 「当初、住民票は兵庫県のままだったが、14年12月に移した。それでも駄目だと言う」

 -区長だった男性によると、15年初めに会合を開いて加入を認めるかどうかを諮ったが、大多数が反対だったと。最低でも過半数の賛成が必要だったと説明している。

 「その男性は、集落を支配しているようなもの。彼には誰も逆らえない」

 -県弁護士会の勧告を受け、自治区側にはどう対応してほしいか。

 「相手の対応を待つ。住んでいるのに居ないことにされたむなしさ、孤独を分かってほしい。それだけだ」

元区長男性(65) 

-なぜ、男性の自治区加入を認めなかったのか。

 「彼は当時、住民票がなかった。2011年12月に母親が死亡し、世帯としては消滅していた。私は13年3月まで市報を届けた。同年4月初めに開いた集落の会合で『住民票がないのは住民ではない』という理由で自治区への加入を認めないことと、世帯数を減らすことを多数決で決めた。私の勝手な一存ではない。集落の総意だった」

 -「中山間地域直接支払制度」の補助金に絡むトラブルが発端に?

 「この補助金は営農者のグループで受け取る。彼が耕作を開始したので、補助金を受け取れるよう名義変更を彼の親戚に当たる代表にお願いするよう助言した。しかし、2人はけんか別れしてしまった」

 「私は、この制度のとりまとめ役ではない。それは彼にも伝えた。『責任者はあなたの親戚の男性だ』と。そこで口論となり、次に私に電話してきた時には『告訴する』の一点張りだった」

 -男性と和解することは可能か。

 「彼は何を言い出すか分からないからこの4、5年、口はほとんどきいていない。彼とはさまざまなトラブルが続き、私も精神的にまいっているし、妻は心労がたまって体調を崩した。私たち家族も被害者だ」

 -14年12月、男性は住民票を移した。加入を認めなかったのは理不尽では。

 「すぐに集落の会合を開いた。私は加入させてもいいと内心思っていた。でも過半数の人は反対した。数人でも脱退されると地域の行事や草刈りなど決まり事ができなくなる。1人の人権を取るか、集落の和を重んじるか。難しい選択だった。私たちにも落ち度があったかもしれないが、彼にも集落の和というものを分かってほしい」


=2017/11/09付 西日本新聞朝刊=

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