高級万年筆にネット資金が殺到 目標の17倍2700万円 賛同者は海外から、人気のワケとは? [大分県]

「品質に対して価格が適切なら、高級万年筆は需要があることを実感した」と語る岡垣社長
「品質に対して価格が適切なら、高級万年筆は需要があることを実感した」と語る岡垣社長
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 豊後高田市の輸入雑貨販売「ワンチャー」が、インターネットを通じて資金を募るクラウドファンディング(CF)を活用して、胴体部分に日本の漆塗りや蒔絵(まきえ)を施した高級万年筆の販売に乗り出した。6日時点で目標金額150万円の17倍を超える約2700万円が寄せられた。国内メーカーなら10万円以上はする価格を半額程度に抑えたことも奏功。岡垣太造社長(52)は「主な賛同者は海外。万年筆を作っていく自信になった」と手応えを語り、万年筆メーカーとしてさらなる飛躍を期す。

 同社は、時計や万年筆、バッグなどを取り扱う。製品の企画・設計は自社で行い、各種部品は海外から調達。中国などで製造したものを輸入し、ネットで海外へも販売している。

 万年筆との縁は、岡垣社長が15年前に行った中国旅行。価格が安く加工精度の高い現地の万年筆にほれ込み、中国企業に製造を依頼し輸入を始めた。「現地には筆で書く文化が根付いていて、万年筆の流れるような筆致と親和性が高いのだろう」と岡垣社長はみる。

 販売面で力を発揮しているのは、立命館アジア太平洋大(APU、別府市)の元留学生たち。同社は正社員7人のうち5人が同大の元留学生。英語や現地語と日本語ができる彼らが会社を引っ張る。ベトナム、台湾、欧州などの企業との商談では得意の語学力を駆使し活躍。一方、独立した元社員も米国、香港、中国で会社を設立。現地での販路拡大に貢献してくれている。岡垣社長は「APUには足を向けて寝られません」と笑う。

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 日本の漆や蒔絵を胴体部分に使った高級万年筆の企画が持ち上がったのは2年前。「国内三大メーカーに次ぐ万年筆メーカーになりたい」という岡垣社長の夢への第一歩だった。元留学生たちが切り開いた海外との人脈を使い、価格を抑えた万年筆を独自生産することを目標に掲げた。

 年商3億円の同社に一から万年筆を製造する資金力はない。その時、ネットで資金を募るCFの手法を提案したのも元留学生だった。ペン先はドイツ製、裏側のペン芯は米国製、胴体素材のエボナイトは日本製で成形は東南アジアの企業に発注するなど、元留学生が長年築いてきた人脈が生きたという。漆塗りは、産地である輪島(石川)、山中(同)、会津(福島)の工房に依頼。昨年1年かけ試作を繰り返し、黒や朱など5種類のほか蒔絵を含め計6種類を完成させた。

 1月26日にCFの募集を始めると1時間で目標金額を突破。2日目に1千万円を超えたという。中心は1本2万~7万円にもかかわらず欧米やアジアを中心に約500人が応募。今回のCFは、金額に応じた自社製万年筆と交換する方式で、3月1日の締め切り後、夏をめどに世界各国にいる賛同者へ万年筆を発送する。

 岡垣社長は「いいものを適正な価格で販売すれば売れると実感した。漆はベトナムなどにもある。今後はアジアの伝統技術を採り入れた万年筆も製作したい」と夢は広がる。同社=0978(24)0588。

=2018/02/08付 西日本新聞朝刊=

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