【意見】垣根を越えた協同の構図が不可欠 松岡恭子氏

建築家 松岡恭子氏 
建築家 松岡恭子氏 
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◆再整備で大切なもの 
 福岡市水上公園、西鉄バス、大分県日田市の竹田公園など、私が関わるプロジェクトにもリニューアルが増えてきた。水上公園は地下の下水処理施設の更新に伴い、公園も刷新した。西鉄バスは社の100周年を機に内外装のデザインを新たにした。竹田公園は園内にある、三隈川から取水する水利施設の建て替えにあたり全体の再整備が行われた。

 水上公園では、市の取り組みの三つの点を評価したい。まず歴史を重んじ、既存彫刻などを再設置した点。次に、公園そのもののデザインと完成後の運営も民間に任せたこと。公がつくったものの管理運営を後で民が受けても、うまくいかない例は多い。最後に、公園に建てることができる建物の規模には法的に制限があるが、敷地西側の西中洲公園も敷地としたことで、ある程度の規模の建物が建設可能となった。このように、官民の良き協同のためにはデザインの前段階の「仕組みづくり」が重要である。

 西鉄バスは、通称赤バスが長年親しまれていた。路線バスのデザインを変えたからといって、利用者が増えるとは考えにくい。しかしグループとして日本一の台数を持つからこそ、その刷新に西鉄は大きな意義を掲げたはずだ。われわれデザイナーも単なる乗り物ではなく、都市景観の一部とみなし街並みを美しくする姿を目指した。本来の機能よりさらに高い次元で対象を捉えることの肝要さと、グラフィックやプロダクトデザイナーとの「多彩な協同」がそれに応えるデザインを生むことを実感した。

 竹田公園には、構想段階では外部有識者として、その後は住民の意見の取りまとめ、基本デザインにと6年以上関わった。公園内にある水利施設の担当は公園整備の部署とは異なり、頼まれてもない水利施設のデザインに意見する私は煙たがられたはずが、景観整備は一体に取り組むべきだという説明を受け入れてくれた。再整備では、関係者が多様な場合が多い。縦割りを超えて、市民と共に「新たな価値を創造する協同体制」をつくることが大切である。

 これらのケースでデザインに加え、様々な立場の関係者を同じ方向へ導くお手伝いができた。リニューアルにおいては歴史や経緯、現状の課題など目線を配るべき点が多い。優れた協同の構図が、公共的プロジェクトによい結果を導くためには不可欠だと実感している。

 今後も駅前広場、道路など、観光促進も視野に入れた再整備が九州で続くだろう。その立ち上げの際の参考なれば幸いである。

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 松岡恭子(まつおか・きょうこ)建築家 福岡市生まれ。国内外でさまざまな建築を設計するほか、北九州空港連絡橋などの土木構造物から家具などの身近なプロダクト(生産品)まで、幅広くデザインを手がける。


=2016/09/23付 西日本新聞朝刊=

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