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【見解】考えさせられた「伝える」意味 デジタル編集チーム・福間慎一

◆ヤフーニュースに出向して

 国内最大のニュースサイト、ヤフーニュースの編集部に8月末まで出向していた。新聞が部数を減らす中、「伝える」ということの意味を考えさせられた1年間だった。

 西日本新聞も含め全国の新聞、雑誌、ウェブメディアなどからヤフーニュースに配信される記事は1日4千本以上。その閲覧数の合計は月間150億ページビュー(PV)に上る。編集スタッフは配信記事を読み比べ、記事を選んでトピックス枠に掲出する。

 今、どの記事がどれだけ読まれているかが即時に分かるシステム。新聞の取材、編集に携わってきた私が「読んでほしい」と思ってきたニュースと、実際に「読まれる」ニュースにはギャップがあった。

 しばしば新聞の1面には、「あす○○法成立」という記事が載る。暮らしに関わる重要なことだし、政治への関心を高めてもらいたいという思いを込めて編集するが、ネットではあまり読まれない。一方、新聞はほとんど扱わない芸能人の交際や破局がネットでは目を疑うほどよく読まれる。それでも、そうした「集客力のある」ニュースがあることで、編集側が読んでほしい政治の話題に目を向けてくれる人が増える効果もある。

 一方で、ネットではニュースの「画一化」と「省力化」も感じた。新聞、テレビを除くメディアの多くは東京に拠点を置いていることもあり、取材の現場はほとんどが首都圏。地方発のニュースはやはり地元のメディアに頼らざるを得ない。そしてブログやツイッター、テレビから書き起こしただけのような記事が想像以上に多い。手前みそだが、現場に足を運び、裏取りに徹する新聞記者たちの仕事の質の高さを再認識した。

 意外だったのは、善行や人助けなどいわゆる「いい話」へのニーズだ。新聞には社会の不条理や不祥事、税金の無駄遣いを強く追及する使命があり、「おぼれた男性を救助して感謝状」のようなニュースは地方版に小さく…というケースも少なくない。だが、こうした話題をはしょらずしっかり伝える記事は、多くの人の心に刺さっていた。

 公共性と社会的関心のバランスをどう取るのか。本当に必要とされているニュースは何か。報道に関わる身として、常に感覚を研ぎ澄ませていたい。


=2017/10/06付 西日本新聞朝刊=

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