18歳有権者急仕立て 解散突然、主権者教育手探り 「生の素材」公約を活用

衆院選について報じる新聞各紙を読み比べ、各党の政策や争点について議論する生徒たち=12日午後、福岡市早良区の修猷館高
衆院選について報じる新聞各紙を読み比べ、各党の政策や争点について議論する生徒たち=12日午後、福岡市早良区の修猷館高
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 選挙権年齢が「18歳以上」に引き下げられ、初めて迎える衆院選を前に、新たに有権者となる高校生の投票意識をどう高めるか、課題になっている。各高校は模擬投票など「主権者教育」に取り組んできたが、授業計画は通年で立てられており、「急な衆院解散への対応は難しい」との声も多い。九州の教育現場でも試行錯誤が続いている。

 3年生400人を抱える福岡市早良区の修猷館高。12日午後、ホームルームの時間を活用し、クラスごとに「主権者教育」の授業が行われた。衆院解散を受けて内容を大幅に変更。教材は、衆院選公示から一夜明けた11日付の新聞記事だ。

 3年8組では、生徒40人のうち誕生日を迎えた23人が有権者になる。授業では4~7人のグループに分かれ、西日本新聞など3紙の記事を基に、各党の政策や選挙の争点を紙に書き出しながら自由に議論した。消費税については「増税ではなく、議員報酬の削減などで足りない財源を賄うべきだ」「増税分の使途は借金返済だったはず。変えたのは支持を得たいからではないか」といった意見が出た。

 関心の薄い生徒も少なくない。「保守とかリベラルとか、右とか左とか、よく分からないよね」と戸惑う声も漏れた。

 こうした授業は、政治的中立性が損なわれないように注意し、生徒同士の討論でも勝ち負けを決めないといった配慮が必要。「教師の能力が問われる」と及び腰の学校も少なくない。同校でも、事前に教師たちから不安の声が出たという。

 担当の宗弘昭教諭は「現実の素材を扱うべきだと判断した。内容が難しかったかもしれないが、授業をきっかけに、関心を持ってもらえれば」と話した。

 公職選挙法が改正されて以降の国政選挙は昨年7月の参院選に続いて2度目。ただ、10月は中間テストや推薦入試の出願、模試などで多忙な時期だ。

 久留米信愛女学院高(福岡県久留米市)では2月、2年生を対象に各党の政策やマニフェスト(政権公約)を学び、本物の投票箱や記載台を市選挙管理委員会から借りて模擬投票をした。今回は改めて授業をする余裕はないという。同校の広橋幸子教諭は「2月の授業で学んだことを生かし、じっくり考えて投票してほしいと伝えた」と言う。

 熊本大の鈴木桂樹教授(政治学)は「日頃の主権者教育の成果が問われる機会。限られた時間だが、生徒たちに各党の公約など生の素材を提供するだけでなく、聞こえのいい政策が並ぶ公約の実現可能性を考えるよう、ヒントを与えることが大切だ」と話している。

=2017/10/13付 西日本新聞朝刊=

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