西日本新聞電子版 1周年記念プレゼント

新燃岳対策が争点に浮上 噴火1週間、地元の選挙運動は抑制

新燃岳が6年ぶりに噴火し、宮崎県高原町では車に火山灰が降り積もった=11日
新燃岳が6年ぶりに噴火し、宮崎県高原町では車に火山灰が降り積もった=11日
写真を見る

 宮崎、鹿児島県境の霧島連山・新燃岳(しんもえだけ)が6年ぶりに噴火して18日で1週間。その影響は22日投開票の衆院選にも及んでいる。大規模噴火時に火砕流などの到達が予測される宮崎県高原町は火山灰で果樹や露地野菜に被害が相次ぐ。突然の噴火に、同町を含む宮崎3区の候補3人は地元に配慮し選挙運動も抑制せざるを得ない。住民には、命と生活を守る対策と政治との関わりを考える契機ともなっている。

 「火山灰で鶏の呼吸器に影響が出るかもしれない。早く終息してほしい」。新燃岳から約7キロの山間部。2011年の噴火時に避難勧告の対象となった高原町広原の養鶏農家、皿良(さらら)弘幸さん(60)は願う。

 当時は噴石が降り注ぎ、鶏を残したまま避難を余儀なくされた。鳥インフルエンザ被害が相次いでいた時期で、避難先から鶏舎に通い飼育と防疫を続けた。

 今回も大きな噴石が飛散する爆発的噴火の恐れがある。「避難して管理不足となり鶏が死んでも補償はない。せめて税金の支払いを分割とか、延期ができたらいいけど…。そんな被災者対策も選挙戦で語ってほしい」と表情を曇らせた。

 噴火は今月11日以降、何度か停止したが、気象庁はなお活発な火山活動が続くとみる。高原町を中心に農作物の降灰被害が広がり、各種行事の中止も相次ぐ。町は火口近くの45世帯101人に自主避難先を連絡した。火砕流や熱風が到達すると想定できるためだ。

 新燃岳周辺の自治体を含む宮崎3区。火山防災が争点に急浮上した格好だ。ただある陣営は「選挙カーが走っている時に噴火し、防災行政無線が聞こえなかったらいけない」と運動を減らしている。3人の選挙公報に「火山噴火」の記述はない。いかに想定外の噴火だったかが透ける。

 11年の噴火では爆発的噴火が続き、噴石や火山灰が広範囲に飛散。県内で51人(11年1月26日~5月3日)が負傷し、農業被害は約12億円に上った。高原町は噴火警戒レベル3(入山規制)の段階で避難勧告を出し、千人以上が避難対象になった。

 今回、同じような噴火が続いたら-。6年前に噴石で家の窓ガラスが割れた70代主婦は「土石流を防ぐ砂防ダムは建設されたけど、対策に終わりはない。やれることは全部やって」。

 新燃岳から約7キロの集落に住む男性(71)は前回の噴火の際、避難所生活で高齢の義母が体調を崩し亡くなった。「噴火がなければあんなことには…。噴火は避けがたい面もあるが、命と生活を守るには行政が頼り。政治家にはしっかりしてほしい」と訴えた。

=2017/10/19付 西日本新聞朝刊=

→電子版1周年記念!1万円分賞品券やQUOカードが当たる!!

西日本新聞のイチオシ [PR]

西日本新聞のイチオシ [PR]