【争点の現場 衆院選2017】(2)消費増税 世代間で評価は二分

秋晴れの下、佐賀市内で行われた保育園の運動会=9月30日
秋晴れの下、佐賀市内で行われた保育園の運動会=9月30日
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 秋晴れの9月30日、佐賀市内では、こども園や保育園の運動会があった。衆院解散から初の週末。小さな運動場でかけっこする園児たちを、保護者が声を上げて応援した。

 スマートフォンでわが子を撮影していた20代の母親がいた。0歳と2歳の男児を持つ。平日は市内のコールセンターに勤務。保育園には午前7時半に子どもを預け、午後6時半に迎えに行く。

 そんな日常に「あれっ」と思うことがあるという。自らの月収のほぼ半分は保育料に消える。貯金はできない。「何のために働いているの?」。時々、そんな気持ちになる。それだけに安倍晋三首相が打ち出した消費増税分を幼児教育無償化などに振り分ける政策は「大歓迎」だ。「税率が10%に上がるのは嫌だけど、本当に助かります」

 「これで働きに行ける」と期待する専業主婦(34)もいた。1歳と5歳、10歳の子がいる。パートを探したが、収入はせいぜい6万~7万円。これなら「学童保育や保育料にほぼ全額が消える」ため、家で子どもの世話をしていたからだ。

 佐賀市の男性会社員(48)も幼児教育無償化に賛同する。認定こども園に通う3歳と4歳の子の保育料が合計で年間約9万円増えた。男性の昇級で月給が2千円増え、市の軽減措置から外れたためだ。首相は3~5歳児の保育料無償化は所得制限をなくす方針を示す。男性も「子どもの教育費はみんなで負担すべきだ」と話す。

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 「教育無償化と言っても結局、消費税を10%に上げるんでしょ。私たち世代を切り捨てるってメッセージにしか聞こえない」

 鳥栖市で年金暮らしの女性(68)は自宅のテレビで首相の訴えを見て、気色ばんだ。

 女性は子育てに「人生を懸けてきた」と言い切る。「学歴社会」の中、息子の幸せを願い、生活費を切り詰めて予備校にも通わせ、何とか大学を卒業させた。

 そして迎えた老後。年金は夫婦で月18万円。うち3万円は国民健康保険料に消える。田舎暮らしには欠かせない車は購入してから15年たったが、買い替えもできない。「たった2%の引き上げと言うかもしれないが、これ以上負担を強いられたら、もう生活できない」と悲鳴を上げる。

 安倍政権は消費税率の8%から10%への引き上げを2度延期した。今回の衆院選では、新党「希望の党」が「消費増税の凍結」を唱える。

 教育無償化と同様、増税凍結も、借金が1千兆円を超す国の財政をさらに悪化させるのは必至で、ツケは若い世代が支払わされる。

 それでも、女性は増税に納得がいかない。消費税率が10%になれば何を買っても値段の1割増しということになる。

 「私たちの福祉が充実するならまだしも、幼児教育をタダにすることに使うなんて、これまで社会を支えてきた年寄りの排除、軽視だ。年金生活者はどうやって生きていけばいいのか」

=2017/10/04付 西日本新聞朝刊=

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