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首相、改憲へ「現実路線」 本丸9条より緊急事態条項 参院選近づき、発言は抑制

 安倍晋三首相は、参院選の結果次第で憲法改正に向けた政治日程を具体化させる構えだ。「本丸」は9条改正だが、実現は難しいとみて、幅広い合意が得られそうな項目を探る。首相の発言をたどると、現実と折り合いを付けながら、実績を残そうと試行錯誤する姿が浮かぶ。

 首相は4月のテレビ番組で、9条改正に関し「ずっと後回しにしていいのか。思考停止している政治家、政党に考えてほしい」と述べ、改憲に否定的な民進党など野党を挑発した。

 9条改正は首相の信条。2006年の第1次政権発足直後のインタビューで「時代にそぐわない典型的条文。日本を守る観点と国際貢献を行う上でも改正すべきだ」と明言した。

 12年の第2次政権以降はややトーンダウンし、今年3月の参院予算委員会では「まだ国民的理解や支持が広がっているというわけではない」と発言した。公明党が反対しており、未練はあるが、任期中の実現は断念しているとみていい。

 昨年9月に、9条との関係で歴代政権が禁じていた集団的自衛権行使を認める安全保障関連法を成立させた。「実質的な改憲なので9条改正にこだわる必要がなくなった」(自民党幹部)という背景もある。

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 首相が次に狙ったのは、憲法改正の国会発議要件を衆参両院議員の3分の2以上の賛成から過半数に緩和する96条の改正だった。14年2月の衆院予算委員会で「たった3分の1の国会議員が反対することで、国民投票で議論する機会を奪っている」と力説した。

 96条改正には、当時の日本維新の会とみんなの党が賛同し、首相は与党の枠を超えた改憲勢力の協力に期待した。

 だが、改憲志向の憲法学者からも「改憲できないならルールを変えようというのは本末転倒」と批判が噴出。国民の支持も広がらず、議論はしぼんでいった。

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 与野党を超えた理解が得られる「現実路線」で浮上したのが緊急事態条項の新設だ。国政選挙が大規模災害やテロと重なった場合、国会に空白が生じないように、特例で議員任期を延長することなどを定める。

 衆院憲法審査会では14年11月、自民、民主、公明、維新などが緊急事態条項を本格的に議論することで合意。首相は今年1月の参院予算委員会で「多数の国が採用している」と述べ、議論の必要性を強調した。

 自民党憲法改正草案に書かれた緊急事態条項は、内閣の権限で国民の私権を制限する内容を含む。

 民進党の岡田克也代表は1月のテレビ番組で「法律がなくても首相が政令で権利を制限できる。恐ろしい話だ」と反発。首相は5月の党首討論で「草案は議論をいただくたたき台」と述べ、草案を修正する可能性を示唆した。

 首相は3月、憲法改正を「任期中に成し遂げたい」と意欲をあらわにしたが、参院選が近づくにつれて鳴りを潜める。自民党の公約も、改憲は抑制的な記述にとどめた。野党は「争点隠しだ」と指摘し、批判と警戒を強めている。

=2016/06/12付 西日本新聞朝刊=

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