西日本新聞電子版 1周年記念プレゼント

託す~被災地から 別府温泉 消えた訪日客 関係者、一過性を懸念

「ひょうたん温泉」の案内板。食事メニューや自動販売機も多言語で表記されている
「ひょうたん温泉」の案内板。食事メニューや自動販売機も多言語で表記されている
写真を見る

 韓国人を乗せたバスはこの日も来なかった。4日、大分県別府市鉄輪(かんなわ)の「ひょうたん温泉」。運営会社専務の田中仁さん(51)は「風評被害ですね」と声を落とす。施設や周辺の道路に被害はない。そこかしこで湯煙が上る街の風景は変わらない。

 源泉掛け流しの露天風呂など8種類の温泉に砂風呂もあり、韓国人向けツアーの定番スポットだった。利用券売機や案内板は英語、中国語、韓国語で表記。他人に肌を見せられないイスラム教徒のため、専用の家族風呂も用意している。

 熊本地震の前は、約30人を乗せたバスが平日3、4台、週末になると10台は来ていた。「本震」の4月16日以降は22日間ゼロ。今も1週間に5台も来ればいいほうだ。日本人客は持ち直してきたものの、売り上げの1割を占めていたインバウンド(訪日外国人)の落ち込みは痛い。

 観光業は、景気や国際情勢などの影響を受けやすい「ムード産業」でもある。苦い経験がある。2012年、当時の韓国の李明博(イミョンバク)大統領による島根県の竹島上陸だ。日韓関係は悪化し、韓国人観光客が激減した。

 政府観光局によると、15年の訪日外国人は過去最高の1973万7千人。4日、大分市で演説した安倍晋三首相は「2千万人だと1年で使うお金は3兆5千億円。このお金を倍に増やすため、4千万人を目指す」と強調した。

 1日、九州での宿泊やツアーが最大7割引きとなる「九州ふっこう割」の販売が始まった。各旅館への予約が殺到。田中さんも「夏休みは乗り切れそう」と胸をなで下ろす。ただし、時まさに参院選の真っ最中。政権与党がアピールする復興施策を歓迎しつつ、一過性の大盤振る舞いに終わらないか-。そんな不安もつきまとう。

=2016/07/05付 西日本新聞朝刊=

→電子版1周年記念!1万円分賞品券やQUOカードが当たる!!

西日本新聞のイチオシ [PR]

[衆院選] 選挙行きます? 行きません?

3年ぶりの総選挙。絶対行く!正直迷うなど「#選挙行きま」をつけて自由にtwitter投稿歓迎中!

西日本新聞のイチオシ [PR]