御船町の避難所状況(熊本地震)

熊本県御船町の施設で、西日本新聞の記者が取材した状況は次の通り。

■南田代集会所

【自給自足で耐え忍ぶ】(4月19日)

 南田代集会所がある御船町上野地区は、御船町中心街から車で25分ほどの山あいの集落。避難住民の食事の世話をする女性(72)などによると、集落は断水中で、住民が16日から、町の許可を受けて自主的に避難所を開設。

 2キロ先の小学校が町指定の避難所だが、高齢者が多く、自宅との往来も必要になるので、そこまで避難するのは難しい。この公民館には60~80代の約30人が寝泊まりする。公民館周辺の道路には、自宅や避難所が倒壊することを懸念し、車中泊する住民が約30人いる。

 避難者によると、1日3回は町役場の職員が回ってきて、支援物資として、おにぎりやカップ麺のうどん、菓子パンなどが配給される。ただ、毎回配給されるのは20~30人分。避難者や食事を求めて一時的に避難所を利用する人は最大で50人ほどで、十分賄いきれないという。そのため、地域の人が食料を持ち寄って炊き出しをして、自給自足で耐え忍んでいるという。

 19日夕には、配給品の魚肉ソーセージと、住民が持ち寄った米、漬けものと、避難者の熊本市在住の家族が届けた餃子を約40人で食べた。今やガス、電気は通っているので、最低限の料理はできる。ただ、紙おむつやトイレットペーパーは全く足りていない。

 世話をする女性は「飲料、水は十分に足りている。でも、配給品だけでは、栄養も足りずに避難している方たちの健康も心配。ここは農家も多いし、みんな顔見知りだから。行政に頼らず、みんなで助け合うしかない。町役場も大変で、まずは自分たちで何とかせんといかんというのが、集落のみんなの思い」と話す。


■御船中学校

【水道は復旧し始めたが食料は不足】(4月18日)

 御船町職員によると一部で水道が復旧しはじめており、徐々に帰宅する人が増えてくるのではないかという。現在の避難者は700人くらいで外(校庭)の車中泊が400人、中(体育館)で寝るのが300人。昨日までは仮設トイレを使っていたが、水道が復旧し始め、学校のトイレが使えるようになってみんな喜んでいる。風呂については親戚の家に行ったり、公共の温泉施設に行ったりしているようだ。

 一番、困っているのはやはり食料。いつ、どれだけの量が届くか分からない。今日も夜の分がどうなっているのか昼ごろは分かっていなかった。次に来るかどうかも分からないから、できるだけ残しておきたいと提供できるのがパン1個、水1本になってしまうこともあった。保存のきく食事なのでどうしてもパンが多くなる。高齢の人にはつらいようだ。

 体育館の中に避難している女性(69)は2回目の本震のあと、ここに避難してきた。「夜はとても怖くて1人で眠ることはできない。自宅は断水しているが損壊はひどくないので昼間に帰ることもあるが、いつ揺れ出すかわからず、落ち着かない。ここは夜にいびきや人の気配が気になって眠れないこともあるが、我慢しないといけない」と話した。


■御船町辺田見の「老人総合福祉施設グリーンヒルみふね」

【支援物資が続々、感謝】(4月18日)

 4月18日の朝刊や本欄で窮状を報じた「グリーンヒルみふね」施設長の吉本洋さんが、フェイスブックに投稿。「新聞の力を再確認できた思いです。熊本県御船町グリーンヒルみふねです。東京新聞、西日本新聞に掲載され全国から声が集まってきています。ものすごい数の支援物資が届きました。涙が止まりません。食料を発注する物流が2週間はめどが立たないとのことでした。米の在庫は14日分ちょうど2週間・・・。皆様の熱い熱いご支援ありがとうございます!」

吉本さんのFBページ https://www.facebook.com/meguhirokenn


【3日で食料がなくなる】(4月17日)

 施設長(44)によると、200人近くが避難。足りない物は、とりあえず割り箸、紙皿、紙コップ。泥水しか出ないため、水を使わなくてすむよう食器にサランラップをまいて食事を載せている。食べ物も足りない。米も水も。職員を含めて150人以上がおり、朝昼晩泊まり込みなので3食提供しないといけない。水、米、電池は知人から一部いただいて、3日くらいは大丈夫かな。でも3日たったら枯渇しそう。あとはレトルト食品があればありがたい。炭水化物ばかりで栄養が偏る。人的な支援、炊き出しができるボランティアなどがいると助かる。

 避難しているのは、特別養護老人ホーム(特養)に入所している50人、ショートステイの20人、デイサービスの利用者で自宅が崩壊したり地震が怖いと言う人14~15人、関連施設の小規模多機能ホーム「みどりの丘」から13人。地域の人や職員の家族も受け入れているため、実質200人近くになっている。

 電気なし、水は泥水、ガスなし、非常電話を立ち上げて今は固定電話がつながる。施設には何カ所かひびが入ったが、倒壊の危険はないと思う。

 救援物資センターに人を送って物資をもらおうとするが、大量には出してもらえない。4~5人の職員が行っても何百人分はもらえない。「大勢人がいる」と町に訴えたが、「県に問い合わせます」という返事。県に問い合わせると、「町の承認がないと自衛隊に要求(申請?)を出せない」と言われる。それを町に言うと「県には再三承認を出している」とたらいまわし。県も町もたくさん情報があってまとめ切れていないんだと思う。

 こんな地震は初めてなので備蓄もない。「米・水・保存食 HELP」と駐車場のアスファルトに書いて写真をフェイスブックにあげた。1文字1メートル四方くらい。個人で陸路で物資を持ってきてくれる方がいる。フェイスブックでつながっている長崎の方が、船で天草まで来て、そこから陸路で2~3時間かけて来てくれた。

→ 老人総合福祉施設 グリーンヒルみふね 公式ホームページ


■御船町役場

【自主避難所が増えている】(4月19日)

 御船町総務課地域防災係の担当者によると、全く食料が足りなかった地震直後に比べ、17日ごろからは飲料水や食料は避難所に最低限は提供できている。ただ、何とか回しているのいうが現状。何度も県に無理をして願いしている。例えば、当初おにぎりを届ける予定だったのが、十分足りずに一部の避難所には乾パンで代用して、配ることもある。お年寄りが乾パンを食べるのは大変だし、申し訳なく思う。

 今は午前6時半、午前11時半、午後5時半の3回を目標におにぎりやカップ麺を届けている。ただ、時間通りには届けることはできない。 一つの理由は自主避難所がどんどん増えていることがある。御船町の避難所は40カ所で、うち指定避難所は16カ所、自主避難所は24カ所になる。

 2回目の「本震」の後にぐっと増えた。高齢のため指定避難所まで行くのが大変という人も多い。職員12人ほどが手分けして配って回っているが、負担も重くなっている。 報道で、益城町や熊本市の震災の映像が流れてそちらに集中してしまう面もあるのかもしれない。


【物資がゼロになった】(4月17日)

 町役場総務課によると、パンやペットボトルの水などすぐに配れる食品のストックゼロが続いている。昨日も、ほぼ炊きだしだけ。2時間待って、おにぎり1個のところもあった。

 昨日は町内で約1500人が避難していた。朝から炊きだしで約30カ所を回ったが、配り終わったのは昼3時すぎ。道路の寸断で指定避難所以外のところに避難せざるを得ないところが多く、約10カ所の指定避難所以外に、広い駐車場や資材置き場などに住民が集まった約20カ所の自主避難先も配布先に入れた。ただ、どこに何個という数の確認がうまくいかず、米や水の手配も手間取った。

 炊きだしのおにぎりをつくっているのは、御船小学校の給食室の1カ所。昼3時までに、朝のおにぎりを配った後、夜にも、朝に配ったところを中心に配った。おにぎり1個だが、配れないところもあった。

 1回目の地震の時も、今より多いくらいの人数だった。不安がる人が多かったが、停電も断水もしていなかった。 それが2回目の地震後、停電も断水も起こり、本格的に食料や水が必要になった。パンや既製品のおにぎりは町内のイオンから、水はサントリーから買っていたが、在庫がなくなった。

 今朝は30カ所すべてに、昨日の夕方に入ったパンと水を配布した。パンは10時前にすべてなくなって、今ストックはゼロ。 住民からは「食料を積んだトラックを見たけど、なんで御船には入ってこないのか」と電話がある。

 御船は、他の地域に比べて目立った被害はないから、ほかの地域に回っているのではないか。自衛隊や県にも、食糧支援の要請しているが、きょうの見通しもたたない。


=西日本新聞=

西日本新聞のイチオシ [PR]

西日本新聞のイチオシ [PR]