大津町の避難所状況(熊本地震)

大津町の避難所で、西日本新聞が取材した状況は下記のとおり。

■本田技研熊本工場体育館

【避難の長期化にどう対応】(5月10日)

 南阿蘇村立野地区の住民ら約160人が避難生活を送る。10日午前、自主運営に向けて区長や役場職員、ボランティアや保健師ら約20人が会議を開いた。

 連休中はピーク時で十数人いたボランティアは数人になった。食材確認や風呂への送迎、ゴミの回収などを担う他自治体の応援職員は現在4人いるが、13日以降はめどがたっていないという。

 会議を呼び掛けた村役場の課長(53)は「立野地区は被害が大きく避難生活の長期化が予想される。住民の力を借りなければ今の形での避難生活は維持できない」と苦渋の表情。ただ、福島から応援で入る保健師は「高齢の住民に、どこまで衛生管理を求められるかが心配だ」と話す。

 この避難所では「温かい食事を提供したい」とボランティアが中心となって屋外の軒下で昼食50~120食と夕食130~160食を調理。ノロウイルス対策のエプロンを着用したりこまめにアルコール消毒したりと注意すべき点が多いためだ。

 会議では「食事を冷たい弁当に置き換えるしかないかもしれない」「長期化すればするほど温かい食事を食べたいが…」などの意見も出た。

 11日午後7時に地区全住民の会議を開く。

 

【もう住みたくないが…】(5月2日)

 南阿蘇村立野地区の避難所になっている。車中泊をしている男性(82)は「大津町に仮設住宅ができるという話を聞いた。もう絶対に立野には住みたくない。避難所でも同じ意見の人がほとんどだ。戻りたいという人も一部いるみたいだけど。おれは無理。

 土砂崩れがあったらもうおしまい。あしたは大雨みたいだね。うちは1階部分がぺしゃんこで、家に入れない。荷物の整理も全くやっていない。仮設暮らしも気が乗らないし、永久ではないからね。2、3年仮設で暮らして、その後新築を建てるといっても、この年じゃ金銭的に無理よ。県外にいる子どもが一緒に住もうと言ってくれているが、身内とは言え長く一緒にいると気を使う。どうしたもんだか」と話した。

 

【パン類は余り、野菜のニーズ高い】(4月24日)

 南阿蘇村の住民115人が避難中。避難所の運営を担当する南阿蘇村職員によると、避難者のニーズに変化が起きている。 パン類は余るようになってきた。23日には、それまでに賞味期限切れとなったパン約400個を廃棄した。パンは自衛隊と村から送られてくる。避難所の人数は伝えているが、だぶつくこともある。「毎日パンは食べられない」という人もいる。

 野菜を食べたいという声が強い。ボランティアが炊きだしをする時にできるだけ野菜を使ってもらっているが、サラダにできるほどは量もない。避難所では洗濯ができないので下着がほしいという要望もある。支援を申し出た業者に使い捨て下着を提供してもらえるようお願いしたという。

 

■総合体育館

 

【一番欲しいのは紙おむつ】(4月20日)

 16日の本震後、生後1カ月の長女を含む子ども4人と夫と一緒に避難している女性(32)に困っていることを聞いた。

 長女のおむつは最初、布おむつにしていたが、断水で洗えないため紙おむつに変えた。自宅からある程度持ってきたし、避難所にも物資があるけど、自分ばかりが使うと他人に悪いので、一度のおしっこでは紙おむつを替えないようにしている。うんちの場合は変える。ただ、おむつを変えないのと、お風呂でおしりを洗えないせいで、長女のおしりがかぶれてしまった。かわいそう。お風呂にも避難してきたころは入れなかったから、授乳で長女にばい菌が入るかもしれないと心配だった。今は自衛隊のお風呂に入れている。

 トイレ事情は、当初は段ボールにビニール袋をかぶせて、そこで用を足して凝固剤をふりかけて固めた上で、大きなビニール袋に捨てていた。また、トイレも最初は流せなかったから、みんなの汚物がたまっていく一方で、便器からはみでそうだった。ティッシュも散らかっていた。今は水が流れるようになったので、改善されている。17日に仮設トイレが設置された。トイレットペーパーは流せないので、トイレ内のビニール袋に入れている。においが充満するけど、我慢するしかない。

 今一番ほしいのは、強いて言うなら紙おむつかな。

 

■災害対策本部

 

【指定外避難所のニーズ把握しきれていない】(4月19日)

 大津町災害対策本部によると、避難の現状は下記の通り。

 19日午前6時現在、避難者数が6842人、避難所が指定17カ所、指定していない避難所も含めると計39カ所。担当者は「実際の避難所の数はもっとあると思う。正直、把握し切れていない、どこまで配給が行き届いているか分からない」と話す。理由は、庁舎に崩壊の危険があるので、そこの修復や業務の再開にエネルギーをとられて人員を割けない。「これは想定外だった」指定避難所以外の避難所の現地調査に力を避けないので、ニーズを把握し切れていない。

 指定外避難所のひとつ、大津町大津の町営グラウンドでは、配給は自衛隊が食料を朝夕に配るだけ。避難している主婦(32)は「毛布などの支給がないので、車中泊をしていたら夫と風邪をひいた。マスクもなく、指定避難所に取りに行った。ネットやSNSで見ると(指定避難所は)ストレスがたまるということで、それなら人が少ないところいいと思ってここに行った」と話した。

 

=西日本新聞=

 

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