空き家対策 有効な活用も模索したい

 高齢者の死去などで居住者がいなくなる「空き家」は、バブル経済の崩壊以降に顕在化した深刻な社会問題である。都市部か地方かは問わない。

 その土地・建物を子の世代などが処分しようとしても買い手は容易に見つからず、放置されるケースが少なくない。家屋の老朽化による倒壊など危険も生じる。

 高齢化や人口減少など社会の構造的な変化が問題の背景にある。即座に解決できる問題ではないが、地域の実態に即して解決に知恵を絞りたい。

 昨年5月に空き家対策特別措置法が全面施行された。防災や衛生、景観上の問題がある空き家を、自治体が行政代執行で解体できる仕組みなどを設けた。九州でも解体作業が進んでいる。

 総務省が5年に1度発表する住宅・土地統計調査(2013年時点)によると、全国の空き家数は約820万戸で総住宅数に占める空き家率は13・5%に上った。1963年には2・5%だったから5倍以上に急増したことになる。23年時点では21%に上るという予測もある。由々しき事態だ。

 特に大きな問題をはらむのは、高度成長期以降に開発された東京などの郊外型住宅街だ。

 開発当時は夫が長時間をかけて都心部に通勤し、妻が家庭を守ることを前提にしていた。今は夫婦共働きで都心部のマンションに住み、子どもは保育施設に預けるスタイルが目立っている。

 老朽化とともに住宅の資産価値は下がり、売ろうにも売れない。九州でもおおむね状況は同じだ。

 さまざまな対策が考案されている。福岡県久留米市は地元の不動産業界と協力して「空き家情報バンク」を設けた。空き家の売買と賃貸借の希望者を橋渡しする。

 地方への移住者向け住宅や地域の交流拠点とするアイデアもある。条件が整備されれば保育施設などとすることも考えられよう。

 単に「取り壊す」だけでなく、時代や社会のニーズを勘案して有効に活用する方策もあるはずだ。柔軟な発想で取り組みたい。


=2016/09/23付 西日本新聞朝刊=

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