JR九州 上場に浮足立つことなく

 株式上場から1カ月足らずの間に、2度の運行トラブルである。悲願を果たして浮かれているわけではなかろうが、気の緩みを指摘されても仕方あるまい。

 JR九州管内で先月、架線損傷によるトラブルが相次いだ。小さなミスでも重なれば、重大事故につながりかねない。青柳俊彦社長は「利用客らに迷惑を掛け、大変申し訳ない」と陳謝した。

 福岡県筑紫野市の鹿児島線で11月11日、架線の一部が破断し、通過した列車のパンタグラフが次々に損傷した。架線の部品劣化が原因とみられ、長崎線の架線も破損して広域的なトラブルになった。平日の通勤通学時間帯と重なり、約17万人に影響が出た。

 九州運輸局は「1カ所の損傷をきっかけに、広域に被害が拡大する例はあまり聞いたことがない」(鉄道部)という。

 列車が破断した架線を通過してパンタグラフを損傷させ、他の架線を傷つける「損傷の連鎖」で運転見合わせが長引いた。

 同22日朝には折尾駅(北九州市)付近の高架化に伴う工事ミスが原因で鹿児島線の一部架線が切れて停電が発生した。鹿児島・長崎両線などで運休や大幅な遅れが発生し、通勤通学客ら約6万5千人が影響を受けた。

 仮設架線に電圧を調整する「均圧線」を取り付けなかったため、発熱して損傷が進んで切れた。部品の付け忘れという初歩的ミスが原因だ。同社は「工事を請け負った関連会社のミス」と釈明する。

 相次ぐトラブルについて、利用者から「しっかりして」と怒りの声が上がるのも当然だろう。

 無人駅拡大など経費削減に取り組むJR九州だが、安全管理にしわ寄せはないのか。同社幹部は「経費削減を進めてきたことが影響したわけではない」と説明する。

 鉄道事故に詳しい専門家は「外注工事頼りで経験不足の本社社員が増え、安全管理能力が低下しているのではないか」と危ぶむ。

 完全民営化したJR九州は安全輸送という鉄道会社の使命と責任を改めて胸に刻んでもらいたい。


=2016/12/02付 西日本新聞朝刊=

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