ユネスコ遺産 登録を伝統継承の励みに

 「博多祇園山笠」(福岡市)や「唐津くんちの曳山(ひきやま)」(佐賀県唐津市)などを含む18府県33件の祭りで構成する「山・鉾(ほこ)・屋台行事」が、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録されることが決まった。

 先人から受け継いできた貴重な財産だ。登録を伝承の励みとし、地域の活性化につなげたい。

 2006年に発効した無形文化遺産保護条約に基づく制度で、「世界遺産」「世界記憶遺産」とともに「ユネスコ三大遺産」と呼ばれる。日本では14年の「和紙」に続く登録となった。

 今回登録される九州の祭りは「戸畑祇園大山笠」(北九州市)「八代妙見祭の神幸」(熊本県八代市)「日田祇園の曳山」(大分県日田市)を含めて5件だ。

 13世紀に始まったとされる博多祇園山笠をはじめ、遅くとも江戸時代から続く長い歴史を誇る。

 いずれも、災厄防除や安泰を願って庶民が生み出した祭りである。ハレの場をつくり出して地域に活力を呼び込み、地域の住民を束ねる役割も果たしてきた。

 山や鉾には、木工や金工、漆塗りといった伝統工芸の高い技術が注ぎ込まれている。まさに地域の力が結晶した宝である。

 その一方、伝統の継承は各地で困難に直面している。

 都市部の再開発や少子高齢化の影響で、祭りの担い手が不足している。集合住宅に入居してきた新住民などを、祭りに導き入れるような取り組みが必要だろう。

 33件は全て国の重要無形民俗文化財に指定されている。国や自治体は用具の修復・新調に対する補助など支援の拡充を検討すべきではないか。伝統工芸の後継者育成にも力を注いでほしい。

 登録によって、祭りの知名度は国境を越えて高まる。外国人客の呼び込みも視野に、祭りを観光振興に生かす工夫が求められよう。

 国内には千件を超える山・鉾・屋台行事があるという。たとえ規模は小さくても、その地域に固有の大切な民俗文化だ。身近な祭りに改めて注目する契機としたい。


=2016/12/02付 西日本新聞朝刊=

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