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トランプ氏介入 身勝手な自国主義許すな

 トランプ次期米国大統領が、個別企業の経営方針に短文投稿サイト「ツイッター」で次々に介入し、企業活動をかき回している。

 米国企業を対象に始まった介入の矛先はトヨタ自動車がメキシコで進める工場新設にも及び「米国に工場を造るか、巨額関税を払うかだ」と露骨に撤回を要求した。

 高圧的な介入に、トヨタや欧米自動車大手も米国内での投資・事業拡大を表明し始めたが、余儀なく譲歩を迫られた格好だ。恫喝(どうかつ)的な短文のつぶやきは品性を欠き、企業の自由な経済活動をゆがめている。米大統領に就任する人物なら、大局的な見地から熟慮の末、発言・行動することが不可欠だ。身勝手な自国主義には、各国の産業界も毅然(きぜん)と対峙(たいじ)してほしい。

 トランプ氏の介入は、既に自動車大手フォード・モーターに対しメキシコへの工場移転を撤回させ、空調機器大手のキヤリアにもメキシコ移転を撤回させている。

 現在、トヨタは10億ドル(約1150億円)を投じ、メキシコに2カ所目の新工場を建設中だ。2019年に完成予定で、米国向けなどに乗用車カローラを年20万台規模で生産、2千人を雇用する。

 トヨタは既に米国で10工場と1500の販売店を展開し、雇用も13万6千人に及ぶ。過去60年間に米国で220億ドルを投資してきたことも説明したが、今回新たに「米国で今後5年間に100億ドル(1兆1600億円)の投資を行う」計画を明らかにした。トヨタとしてはメキシコ工場建設を撤回せずに米次期政権との対決を避けるために知恵を絞った対応なのだろう。

 一方、欧米自動車大手のフィアット・クライスラー・オートモービルズも、米2工場へ20年までに約10億ドルを投資すると発表した。

 トランプ氏は米製造業の復活と雇用創出を重視している。しかし、既に多くの企業が多国間での工程分業など最適生産を行う中、強制的な米国内への工場集積はかえって経済の活力をそぐ。次期大統領の顔色をうかがうような経営者の物腰こそ、自由闊達(かったつ)な米国経済の精神に反するのではないか。


=2017/01/11付 西日本新聞朝刊=

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