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東芝の迷走 再生ビジョン明確にせよ

 従業員19万人の電機大手、東芝が迷走している。予定していた決算発表を1カ月延期したのに、市場の信認をつなごうとの思惑からか、「財務数値の修正の可能性はあるが」と断って業績見通しや原子力事業での損失を発表した。

 そんな経緯も異例なら、そこに記された数字も、その後の社長会見も極めて深刻なものだった。高い技術力を誇るこの会社の内部統制やリスク管理は一体、どうなっているのか、甚だ疑問だ。

 まず、納得がいかないのは決算発表の延期だ。予定時刻の14日正午を過ぎても発表は行われず、午後2時半まで延期の理由も明らかにしなかった。これが上場企業の対応だろうか。東芝は米原発事業で、不正が疑われる事案が新たに発覚し、調査のため延期したとしているが、不正の内容に関しては「調査中」と口をつぐんでいる。これでは理解は得られまい。

 そして、危機的なのは業績見通しに記された数字だ。米国の原発事業で7125億円の巨額損失が生じ、2016年4~12月期の連結決算で処理するとした。その結果、最終損益は4999億円の赤字となり、昨年12月末時点で負債が資産を1912億円上回る実質的な債務超過に陥った。

 苦境にある財務改善のため、今後、半導体事業を分社化し、新会社株の過半数の売却も視野に資本増強を行うという。つまずいた原発事業の損失の穴埋めに、優良事業の半導体事業を切り売りする捨て身の再建策だが、その後の収益の柱はどうするのか。

 東芝はこの先、鉄道、電池、ビルシステムなど社会インフラ事業を核に事業を組み立てるという。失った信頼を取り戻すのは容易ではない。経営陣はより具体的で説得力のある再生ビジョンを練り上げ、提示すべきだ。

 今回の迷走は、東芝の米原発子会社が経営状況の悪い原発建設会社を買収したのが発端だった。原発事業のリスク管理に問題はなかったか。巨額損失の厳密な検証と徹底的な情報公開が経営再建の前提であるのは言うまでもない。


=2017/02/16付 西日本新聞朝刊=

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