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原発避難いじめ 心に潜む差別の根を絶て

 「放射能がうつる」と言われ、「賠償金をもらってるだろう」と金をせびられる-。

 原発事故で福島県から各地に避難している子どもたちに対するいじめ報告が相次いでいる。

 不安な生活を送る子どもが、心ない仕打ちを受ける。心の傷の深さは、察するに余りある。

 いじめ防止対策推進法に基づく国の基本方針の改定案に、東日本大震災の被災児童生徒に対するいじめ防止が盛り込まれた。

 特定の子どもに対して配慮を求めるのは、異例のことだ。

 基本方針は、学校のいじめ対策の土台となる。教育現場は、重く受け止めてほしい。

 避難した子どもへのいじめが表面化したのは、昨年11月である。

 横浜市に避難した男子中学生が小学生時代のいじめで不登校になっていた。お金をせびられ、名前に「菌」を付けて呼ばれたという。衝撃を受けた人は多かろう。

 その後、各地に避難した子どもたちが、体験を語り始めた。

 千葉県の女子高生は、小学5年で福島から転校してきた時、男児から「汚い」「放射能が付いている」と連日言われたという。家族も慣れない土地で苦労していた。彼女は「母が悲しむ」としばらく黙っていたという。

 表面化したのは氷山の一角ではないのか。多くの子どもが理不尽ないじめに遭っても沈黙を強いられ、苦しんでいるとすれば、救いの手を差し伸べたい。

 復興庁によると、九州7県で暮らす福島、岩手、宮城3県などからの避難者は1月時点で約1900人に上る。各学校で早急に実態を調べてもらいたい。

 見逃してはならないのは、一連のいじめの背景に、誤解と偏見に基づく差別意識があることだ。

 放射能や病気がうつるといういわれなき中傷は広島・長崎の被爆者やハンセン病患者を苦しめてきた。補償金を巡る悪意に満ちた風評は水俣病患者などが体験したことでもある。問題の根は深い。心に潜む差別の根を断ち切ることが必要である。


=2017/02/17付 西日本新聞朝刊=

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