北朝鮮ミサイル 日米韓で戦略構築を急げ

 北朝鮮の暴走が止まらない。

 北朝鮮は6日朝、同国北西部から弾道ミサイル4発を発射した。3発は秋田県沖の日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下し、残る1発もEEZ付近に落ちた。

 北朝鮮による弾道ミサイル発射は、国連安全保障理事会決議に明確に違反し、アジア太平洋地域の安定を脅かす。また、日本のEEZへのミサイル落下は漁船などに被害を及ぼす恐れがある。断じて看過できない暴挙である。

 米国のトランプ政権発足後、北朝鮮がミサイルを発射したのは2月12日に続き2回目だ。今月1日から韓国では米韓合同の大規模な軍事演習が始まった。北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)政権にとって、今回のミサイル発射は米韓合同軍事演習への強い反発を示すとともに、トランプ政権の対北朝鮮姿勢を瀬踏みする意図があるとみられる。

 また、金正男(キムジョンナム)氏殺害事件で国際的な非難が強まる情勢の下、ミサイル発射で安全保障の危機感を高めることにより、強引に局面を転換しようとした可能性もある。

 気掛かりなのは中国との関係だ。先月のミサイル発射や金正男氏殺害を受け中国は北朝鮮からの石炭輸入を停止し、暴走する北朝鮮に圧力をかける姿勢を見せた。

 にもかかわらず、北朝鮮が今回のミサイル発射に踏み切ったことは中国の金正恩政権への影響力が低下し、もはや制御が難しくなっている危険性をうかがわせる。

 肝心の米国の対応も心もとない。トランプ大統領は前回のミサイル発射時「100パーセント日本を支持する」と述べたが、米国として主体的にどうするつもりかは不明確だ。国内の混乱に足を取られ、政権の北朝鮮に対する基本的な外交・安全保障戦略が固まっていないのではないか。

 今後、北朝鮮とトランプ米政権のせめぎ合いが本格化しそうだ。しかし、出口戦略がないまま対立をエスカレートさせるのは危険である。日米韓3カ国のうち最も政情が安定している日本が主導役となって、早く日米韓の対北朝鮮戦略を再構築する必要がある。


=2017/03/07付 西日本新聞朝刊=

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