GPS捜査判決 乱用に警鐘鳴らす最高裁

 捜査の大原則に関する明快な判断である。最高裁大法廷は、裁判所の令状なく捜査対象者の車に衛星利用測位システム(GPS)の端末を装着した捜査について「違法」と初めて認定した。

 住居の不可侵などを定めた憲法35条に照らし、GPS捜査は「プライバシーを侵害し、公権力による私的領域への侵入を伴う」として、令状なしにはできないと断じた。捜査権の乱用に警鐘を鳴らした判決といえるだろう。

 人工衛星を利用して位置情報を知るGPSはスマートフォンなどにも内蔵され、市民生活に広く普及してきた。

 警察庁はGPSでの追跡を「尾行の補助的手段」とし、2006年からは誘拐や連続窃盗などで「緊急性が高く、他の捜査では追跡が困難」な場合に令状が不要な任意捜査と位置付け、活用してきた。

 大法廷が審理したのは、窃盗を繰り返した罪に問われた男の事件で、警察は本人や知人の車にひそかにGPSを付けていた。

 判決はGPS捜査について「個人の行動を継続的、網羅的に把握する」ことから「個人の意思を制圧して憲法の保障する重要な法的利益を侵害する」として、刑事訴訟法が求める令状の必要性を認めた。裁判官15人の一致した結論である。窃盗罪などについては、GPS捜査で得た証拠以外から被告側の上告を棄却した。

 注目すべきは大法廷がGPS捜査に必要な令状のあり方について新たな立法的措置を求めたことである。判決は「GPS捜査は容疑者らに知られずにひそかに行わなければ意味がなく、事前の令状提示は想定できない」として、その特性に着目した措置を取るよう求めた。法が想定しない技術の進歩に応じた捜査のルールづくりを促したといえるだろう。

 無論、令状は金科玉条ではない。発付の可否を判断する裁判所の能力も今後さらに問われよう。

 GPS捜査は犯罪の摘発に威力を発揮している。どう使いこなすか。重要なのは憲法がうたう「人権の重さ」との兼ね合いである。


=2017/03/17付 西日本新聞朝刊=

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