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原発賠償判決 国・東電は重く受け止めよ

 司法が巨大津波は予見できたと認めた。「想定外だった」という主張が一蹴された国と東京電力は判決を重く受け止めるべきだ。

 東電福島第1原発事故で福島県から群馬県に避難した住民らが国と東電に損害賠償を求めた集団訴訟で、前橋地裁は国と東電に対し原告137人のうち62人に計3855万円を支払うよう命じた。

 原発の津波対策を巡る訴訟で国と東電の過失が認められたのは初めてのことだ。同様の訴訟は九州を含め全国で約30件に及び、今回はその最初の判決だった。

 最大の争点は、福島沖での大地震と大津波の予見可能性があったかどうか-だった。

 判決は、政府の地震調査研究推進本部(地震本部)が2002年に発表した長期評価を重視した。「福島沖を含む日本海溝沿いでマグニチュード8級の津波地震が30年以内に20%程度の確率で発生する」という内容である。政府は規制権限に基づいて東電に津波対策を取らせるべきだったのに、それを怠ったと過失を認定した。

 また、東電は政府の長期評価に基づいて08年には原発設備を浸水させる高さの津波を実際に予見していたと踏み込み、大津波を「想定外」とした東電を批判した。さらに配電盤の高台設置などで事故は容易に回避できたとして「経済的合理性を安全性に優先させた」と断じた。鋭い指摘である。

 そもそも国が長期評価を「確立した知見とは言えない」と裁判で主張したことには疑問を禁じ得ない。地震本部は阪神大震災を教訓に設置された専門機関である。現段階では不可能とされる予知に代わって地震発生確率を計算し、防災に役立てるのが長期評価だ。国は長期評価の信頼性を自ら否定していることになりはしないか。

 原発が国策として推進されてきたことを踏まえ、判決は「国の責任が東電と比べて補充的とは言えない」と指摘した。重い警告である。過酷事故が起きれば甚大な被害は広域的かつ長期に及ぶ。発生から6年が経過した福島の教訓をかみしめた判決ともいえよう。


=2017/03/19付 西日本新聞朝刊=

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