こどもの日 育てたい多文化共生の力

 アジア各国の人々が、コンビニや飲食店などで働いている。今では日常的な光景となった。

 本紙はキャンペーン企画「新 移民時代」で、外国人を地域の「生活者」として受け入れる九州各地の取り組みを追っている。

 無論、隣にいる外国人は大人だけではない。言葉や文化の壁に直面する子どもにも目を向けたい。今日は「こどもの日」である。

 文部科学省によると、全国の公立小中高校で学んでいる外国人の児童生徒は7万人を超す。このうち、日本語の指導が必要な子どもが約3万人いる。

 このほかにも、国籍は日本だが、両親の一方が外国人で、日本語が苦手な子どもが大勢いる。

 こうした子どもの母語はスペイン語やポルトガル語、ベトナム語などさまざまだ。もちろん、生活習慣や宗教も多種多様である。

 学校側には温かい配慮ときめ細かな指導が求められる。同時に豊かな多文化共生を目指す教育を期待したい。

 福岡県大牟田市の市立中友小学校は、地域に多いフィリピン人の受け入れに知恵を絞ってきた。

 保護者を対象に日本語教室を開いている。よく使うフィリピンの言葉を壁に張り、他国の文化を知る学習にも力を入れてきた。何よりも、一緒に学び遊ぶことで、「子どもたちは違いを認め合うことの大切さを自然に学んでいる」と教員は成果を語る。

 埼玉県教育局(教育委員会)はこの春、外国人に向き合うための人権学習指導案をまとめた。

 日本で暮らす外国人の気持ちを疑似体験するロールプレイ(役割演技)などが紹介されている。九州でもぜひ参考にしてほしい。

 多様性を認め合い、尊重する。他人の気持ちを思いやる。さまざまな出自や個性を持つ人々が集う社会では欠かせない姿勢だろう。

 定住外国人と隣人として付き合うことには時に困難や摩擦を伴う。それでも、多文化共生を目指すことが私たちの地域社会をより豊かにする道であることを、教育を通じて子どもたちに伝えたい。

=2017/05/05付 西日本新聞朝刊=

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