米ロシアゲート 大統領は説明責任果たせ

 「ロシアゲート」を巡る米国の政治混乱は長期化する様相だ。

 ロシアによる米大統領選への介入や、トランプ大統領陣営幹部とロシアとの癒着疑惑に関連し、連邦捜査局(FBI)のコミー前長官が先週、自身とトランプ氏とのやりとりを米議会で証言した。

 証言や事前に提出した書面によると、コミー氏は今年2月、疑惑捜査の対象だった大統領側近について、トランプ氏から「大目に見てほしい。彼はいいやつだ」と言われたという。コミー氏は「大統領の(捜査中止の)指示と受け止めた」と説明している。

 またコミー氏は1月、トランプ氏から「長官職を続けたいか」と問われた上で繰り返しトランプ氏への忠誠を求められた。コミー氏はFBIの独立に懸念を覚えたという。コミー氏はその後トランプ氏から長官職を突然解任された。

 これらの証言が事実だとすれば、トランプ氏が自分や側近の保身のために、捜査に圧力をかけた疑いが一層強まる。民主主義の原則を揺るがす行為であり、大統領としての資質を問われて当然だ。

 ただ、トランプ氏の発言が大統領弾劾の要件となり得る「司法妨害」に当たるかどうかは、専門家でも意見が分かれる。ロシアゲートの疑惑は多岐にわたっており、今後は中立的な立場で捜査に当たる特別検察官や、議会による全容の解明が求められる。

 トランプ氏はコミー氏の証言について、例によってツイッターで「間違った発言とうそだらけ」と攻撃した。しかしコミー氏は偽証すれば罪に問われる場で証言しており、内容にも真実味がある。

 むしろトランプ氏こそ、議会や記者会見など公の場で、大統領としての説明責任を果たすべきではないか。ツイッターで一方的に発信するのを説明とは呼べない。

 トランプ氏の一連の疑惑は、民主主義陣営のリーダーとしての米国の国際的信頼を大きく傷つけた。トランプ氏が選挙戦で掲げた「米国を再び偉大に」のスローガンとはまるで逆の結果をもたらしている。皮肉というほかない。


=2017/06/14付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞のイチオシ [PR]

西日本新聞のイチオシ [PR]