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原子力規制委 「適格」の理由を説明せよ

 東京電力柏崎刈羽原子力発電所6、7号機(新潟県)の再稼働に向けた審査で、原子力規制委員会は、東電が原発を運転する資格があるかどうかを議論し、条件付きで適格性を認めた。

 事実上の合格証となる審査書案に向けて原発の安全確保や福島第1原発の廃炉に法的拘束力を持たせるため、東電の保安規定に「経済性を優先して安全性をおろそかにしない」などの明記・順守を求める。経済産業省に東電を監督・指導することも要請するという。

 しかし、今回の議論はもっと慎重に、広範な角度から進めるべきではなかったか。福島事故の原因は解明されていない。避難生活者は5万5千人を超す。損害賠償などの費用も自力で工面できていない。東電の適格性には厳しい姿勢だった規制委が審査終盤で一転して容認に傾いたのも理解に苦しむ。なぜ了承を急ぎ、何を根拠に判断したのか。説明を求めたい。

 東電が規制委に6、7号機の審査を申請したのは2013年9月のことだ。東電にとって2基の稼働は経営再建の柱となる。規制委は重大事故を起こした東電に対し、通常の審査に加え、適格性を判断する異例の対応を取った。

 審査中には免震重要棟の耐震性不足や、液状化で防潮堤が損傷する恐れが判明した。福島事故を巡っても汚染水や廃棄物の処理策は具体性を欠いた。7月の会合で田中俊一委員長は「第1原発の廃炉に主体的に取り組めない事業者に再稼働の資格はない」と東電の姿勢を強く批判していた。

 それなのに、先週の会合で規制委は「事故経験はプラスになる」「事故責任と技術力は別」などと方向転換し、13日には適格性を認めた。まさに急展開である。東電が津波のリスクを軽視し対策を怠ったことが、福島原発事故の大きな要因の一つだったことを十分に考慮したのだろうか。

 規制委は方針転換の理由を国民に丁寧に説明すべきだ。再稼働には地元同意のハードルもある。再稼働の論議は拙速を避け、多様な国民の声を聴くことが大切だ。


=2017/09/15付 西日本新聞朝刊=

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