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安保法制 反対デモの民意はどこへ

 ■2017衆院選■

 前回総選挙のあった2014年12月から現在までの3年間で、最も大きく動いた政策分野に安全保障がある。安倍晋三政権が国民の不安の声を押し切り、集団的自衛権行使を認める新たな安全保障法制を成立、施行させたためだ。

 今回の総選挙でも当然、現政権の功罪を問う中で改めて安保法制の是非を争点とすべきである。しかし、この問題が実際に与野党の主要な争点になるかは不透明だ。自民党と政権を争うとみられる新党、希望の党が、安保法制を「必要」と容認しているからである。

 希望の党は「安保政策の一致」を候補選定の条件にしており、安保法制に反対する民進党前議員らを排除する構えだ。「政策抜きの野合」との批判をかわす狙いもある。希望の党が「現実的な安全保障政策」を掲げ、保守の立ち位置を鮮明にするのは、政党づくりの進め方としては理解できる。

 ただ、安保法制の最大の問題点は、法制の主眼である集団的自衛権の容認について「憲法違反」の指摘が相次いだことだ。

 事実上の解釈改憲ともいえる手法で法制改定を進めた安倍政権に対し「立憲主義の軽視だ」という批判が高まり、国会周辺は反対デモの市民であふれた。

 希望の党が「現実的」との理由で安保法制を肯定するにしても、同時にそれは「立憲主義の軽視」を容認することにならないだろうか。それでは「安倍1強政治」への批判も、説得力が弱まる。

 何より気になるのは、2年前に国会前を埋めたデモの民意が漂流してしまうことだ。民進党が事実上解党する状況下で、共産党や社民党は安保法制廃止を主張するが、保守2党による政権選択選挙の中では埋没しかねない。

 憲法改正や安保法制に反対する民進党のリベラル勢力がきのう、希望の党に合流せず新党を結成すると表明した。民意の「受け皿」を意識した動きだろう。民意を国政の場に反映させるために「受け皿」は不可欠である。


=2017/10/03付 西日本新聞朝刊=

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