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米で銃乱射事件 これでも規制しないのか

 このような惨事が幾度繰り返されるのか。銃社会・米国に巣くう病根の深さにあぜんとする。

 世界有数の娯楽都市である米ネバダ州ラスベガスで、男がホテルの高層階から屋外コンサート会場に向けて銃を乱射した。50人超が死亡し、500人以上が負傷した。メディアは米史上最悪の乱射事件だと伝えている。

 容疑者は現場で自殺した。同州在住の白人男性で、単独犯とみられる。過激派組織「イスラム国」(IS)が、容疑者は「ISの戦士」とする声明を出したが、信ぴょう性は疑わしい。政治的な目的のあるテロかどうかは不明で、社会への憎悪や特異な思想から大量殺人を企てた可能性もある。

 驚かされるのは、この容疑者が大量の銃や弾薬を所有していたことだ。犯行現場となったホテルと自宅で合計40丁以上の銃や数千発の弾薬が発見されたという。

 米国ではこれまで度々乱射事件が起きている。そのたびに銃規制強化を求める声が上がるが、効果的な規制は実現していない。

 合衆国憲法修正2条は「国民の武装の権利」を認めており、市民社会にも「銃で身を守る」という意識が根強い。また、銃の業界が強力な圧力団体として米議会に規制導入反対を働き掛けているのも大きな要因だ。特に共和党は徹底的に規制反対の立場である。

 しかし、これだけの悲劇を繰り返しながら、米議会が本格的な銃規制を導入しないでいるのは、どう考えても不合理だ。他国から見れば、全く理解できない。

 トランプ大統領も選挙期間中から、銃規制には慎重な姿勢を示してきた。今回の乱射事件の後、大統領報道官は銃規制の議論について「時期尚早だ」と述べた。

 トランプ氏はこれまで、治安悪化の責任を不法移民やテロ組織に転嫁する発言を繰り返してきた。この事件を契機に、銃がまん延する米国社会の危険性に正面から向き合い、実効性のある規制に乗り出すべきだ。罪のない人々の命が奪われ続ける国が「偉大な国」であるはずがない。


=2017/10/04付 西日本新聞朝刊=

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