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自民党公約 掲げたなら堂々と論じよ

 ■2017衆院選■

 政権党が憲法改正を公約の前面に打ち出してきた。

 10日公示の衆院選に向けて、自民党は安倍晋三首相が悲願とする改憲を重要項目の一つとする公約を公表した。

 「スケジュールありきではない」と首相は言うものの、来年の通常国会での改憲発議、その後の国民投票、さらに2020年の東京五輪に合わせた改正憲法施行を思い描く首相の意向を強く反映した公約だろう。

 首相が自民党総裁に返り咲いた12年以来、改憲を公約の柱にするのは初めてだ。改憲項目として、首相が唐突に提案した「自衛隊の明記」のほか、「教育無償化」「緊急事態対応」「参院の合区解消」も示している。

 過去4回の国政選は経済再生が最優先で、改憲は公約集の末尾に「国民合意の形成に努める」などと簡単に記しただけだ。熱心なはずの首相が言及しないため、論戦が活発化することもなかった。

 ところが選挙で勝つと、首相は何もかも信任されたとばかりに発議要件の緩和、緊急事態条項、自衛隊明記と重点を変えつつ憲法改正を巡る発言を繰り返した。これでは実質的な「公約隠し」と批判されても仕方あるまい。

 他方で首相は、憲法違反の疑いがある安全保障関連法、憲法が保障する「知る権利」を侵害する懸念がある特定秘密保護法などの制定も強引に進めてきた。

 今回も党内の異論を振り切っての見切り発車である。やはり重要項目に位置付けた消費税増収分の幼児教育無償化などへの使途変更も含め、党内議論を積み上げた成果を国民に問う公約とは言い難い。与野党論戦に資するならいざ知らず、党内ですら未成熟な論議で公約化する姿勢には素朴な疑問を禁じ得ない。

 政権党が政権選択選挙で掲げた公約だ。その重みは指摘するまでもない。憲法をはじめ重要な争点を巡って真正面から野党との政策論争を繰り広げてもらいたい。


=2017/10/06付 西日本新聞朝刊=

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