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電通残業判決 働き方改革を一刻も早く

 悲劇を繰り返さぬために社会全体で働き方改革を加速させる-。今回の判決を機に再認識したい。

 女性新入社員が過労自殺した広告大手電通の違法残業事件で、東京簡裁が労働基準法違反罪に問われた法人としての同社に罰金50万円の判決を言い渡した。

 判決によると、電通は亡くなった女性社員ら4人に労使協定の定める月50時間を超え、15年10~12月に3時間30分~19時間23分の時間外労働をさせた。

 判決は「違法な長時間労働が常態化していたが、抜本的対策は講じられなかった」と指摘した。「尊い命が奪われる結果まで生じていることは看過できない」と同社の姿勢も厳しく批判している。

 電通の山本敏博社長は「判決を厳粛に受け止める。心からおわびしたい」と述べた。電通は重大な責任を自覚するべきだ。

 今回の事件を巡っては、検察側がいったんは争いのない軽微な事件と判断して略式起訴を簡裁に提起した。通常なら直ちに罰金や科料の命令が出るところだった。裁判所が検察に「ノー」を突き付ける異例の展開となり、正式裁判になった。それほど世間に与えた衝撃は大きかったということだ。

 電通では1991年にも入社2年目の男性社員が過労自殺し、両親による損害賠償訴訟で最高裁が2000年に電通の責任を認める判断をしている。この時に真摯(しんし)な姿勢で長時間労働是正に取り組んでいれば再び犠牲者を出さずに済んだはずだ。残念でならない。

 厚生労働省によると、16年度に過労死と労災認定された人は107人で、過労自殺は未遂も含めて84人だった。最近ではNHKの女性記者=当時31歳=が長時間労働で過労死し、労災認定されていたことも明らかになった。

 国内には長時間労働を慣習にしてきた企業も多く、意識改革は容易ではない。臨時国会で提出されるはずだった働き方改革の関連法案は衆院解散で棚上げされた。

 命に関わる問題の先送りは許されない。一刻も早く改善に取り組むことが求められる。


=2017/10/07付 西日本新聞朝刊=

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