九州新幹線脱線 防止ガードの全線設置を

 昨年の熊本地震による九州新幹線回送列車の脱線事故について、運輸安全委員会が調査報告書をまとめて公表した。

 高架橋上で地震による揺れが増幅し、車体が左右に大きく揺れたことが脱線の原因としている。

 九州新幹線では初の脱線事故だった。高速で走る新幹線は、ひとたび事故が起きれば大惨事につながりかねない。JR九州は安全対策に万全を期してほしい。

 昨年4月14日夜、6両編成の回送列車は時速78キロで走行中に突き上げる縦揺れを受けた。運転士が非常ブレーキをかけたが、6両とも脱線した。けが人はなかった。

 報告書によると、現場周辺は地盤が軟らかく、高さ約10メートルの高架橋上だったため地表に比べて揺れが倍近くに増幅され、車体の大きな揺れにつながったという。

 現場の揺れは震度6弱~6強だったと推測している。

 注目したいのは「脱線防止ガード」の存在だ。レールの内側に並行して敷設され、地震時の脱線を防ぐ。当時、事故現場に防止ガードはなかった。報告書は「設置されていれば計算上は脱線しなかった」と結論付けている。

 運輸安全委は新幹線沿線の活断層を見直し、地震発生リスクを考慮した防止ガードの設置を進めるようJR九州に求めた。

 同社は脱線事故を受け、事故現場を含む熊本駅構内や熊本総合車両所内の計17キロに脱線防止ガードを設置した。今年3月末現在、新幹線の総延長512キロのうち71キロ(14%)で防止ガードが整備済みだ。さらに、2019年度までに新玉名-熊本間の約15キロでも設置する方針という。

 JR東海は車両基地への回送線も含め、東海道新幹線全線で28年度までに防止ガードを取り付けることにしている。全線整備となれば費用負担も当然、重くなる。

 ただ、活断層は未知のものも多い。さらなる脱線対策についてJR九州は「今後、国土交通省などと協議する」としている。安全最優先の観点から、九州新幹線でも全線設置を目指してほしい。


=2017/12/28付 西日本新聞朝刊=

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