訪日客増加 素顔の交流が互恵を紡ぐ

 国家間で政治的な対立が続いていても、国民同士の交流は着実に拡大している。来年はこの流れをさらに加速させたい。

 「一衣帯水」と形容される、日本と中国、韓国との関係である。

 日本政府観光局によると、今年1~11月の訪日客は中韓を中心に2616万人(昨年同期比418万人増)に達し、過去最高を更新した。年間総数は2800万人超に上る見通しだ。

 1~11月の内訳は中国679万人、韓国646万人、台湾424万人、香港202万人と続き、近隣国・地域の人々が全体の約75%を占める。中国での中間層の拡大、それに呼応した日本政府の入国査証(ビザ)要件緩和、免税品目の拡大などによって「日本人気」が定着しつつあるようだ。

 リピーターや個人旅行客が徐々に増え、定番の観光地だけでなく地方に足を延ばす人も目立つ。「日本の素朴な自然や文化に心を引かれる」という声をよく聞く。九州への外国人入国者も今年は400万人規模に達する見込みだ。

 訪日観光がもたらす経済効果は大きい。その半面、国民性の違いなどによるトラブルの多発を問題視する声もある。それを踏まえた上で、東アジア交流の広がりをぜひ前向きに捉えたい。

 反日色が強かった近隣圏の人々が日本の素顔に接して「親日」「知日」へ傾き、相互理解が進みつつある。それが、ひいては国家間の緊張緩和や紛争の抑止力へとつながっていくのではないか。

 日本からの訪中・訪韓客は近年それぞれ200万人規模にとどまり、伸び悩んでいる。領土や歴史問題を巡る外交摩擦が少なからず影を落としているとみられる。

 しかし、国家間の外交と民間交流は切り離して見る冷静な思考も必要である。韓国・平昌(ピョンチャン)で冬季五輪が開かれる2018年は、日中平和友好条約締結から40年の節目に当たる。平昌に続いて20年には東京夏季五輪、22年には北京冬季五輪と東アジアでスポーツの祭典が続く。これらも見据え、友好と互恵の意義を再確認したい。


=2017/12/28付 西日本新聞朝刊=

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