「慰安婦検証」 韓国は合意尊重すべきだ

 従軍慰安婦問題を巡る韓国政府の作業部会が、2015年の日韓合意を検証した報告書を発表した。日本政府と合意を結んだ朴槿恵前政権の外交手法を強く批判し、合意の正当性に疑問を投げ掛ける内容となっている。

 報告書は「韓国政府は被害者(元慰安婦)の意見を十分集約せず、政府の立場から決着させた」と批判し「被害者が受け入れない限り政府間で『最終的かつ不可逆的な解決』を宣言しても問題再燃は避けられない」と結論付けた。

 この報告書はあくまで朴前政権の交渉姿勢に対する検証であり、合意の取り扱いについては提言していない。文在寅大統領が今後、報告書を踏まえて合意への対応を決定することになる。

 文氏は報告書発表を受けて「この合意では慰安婦問題が解決されないことを改めて明確にする」と表明した。文氏は「再交渉」を公約に掲げて当選しただけに、合意破棄や再交渉を日本側に求めてくる可能性も捨てきれない。

 文政権の合意に対する否定的な姿勢には懸念を覚えざるを得ない。韓国世論に合意への不満の声があるとしても、日韓関係全体を見据え、文政権の責任で合意を維持、順守するよう求めたい。

 その理由の一つは、政府間の合意の重みである。政権が交代すれば前政権の政策を見直すのはよくあることだが、「最終的かつ不可逆的」とまでうたった政府間合意をわずか2年でほごにするようでは、これから韓国とは重要な外交交渉などできなくなる。

 もう一つの理由は、少なからぬ元慰安婦の女性が合意を受け入れているという事実だ。韓国政府によると、合意発表時点で存命だった元慰安婦47人中、36人が合意に基づく支給金を受け取ったか、受け取る意思を表明している。元慰安婦も反対一色ではないのだ。

 韓国政府はまず、こうした点を国民に丁寧に説明し、合意への理解を得る努力をすべきではないか。北朝鮮情勢が緊迫の度合いを高める中、日韓関係を極度に悪化させるのは得策ではないはずだ。


=2017/12/29付 西日本新聞朝刊=

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