報酬同時改定 医療と介護の連携強化を

 2018年度に同時改定される診療報酬と介護報酬の予算案が決まった。年明けとともに、個別の診療や介護サービスの価格を決める議論が本格化する。

 診療報酬は薬価を引き下げることで全体ではマイナス改定となったが、医師の人件費などに当てる「本体部分」は0・55%引き上げられた。介護報酬も0・54%引き上げられる。

 病院や介護事業所の多くが、厳しい経営を強いられている。人手不足は深刻だ。まずは報酬アップを職員の待遇改善に結び付けることが肝要だ。

 入院患者を減らし、在宅でケアを受けながら暮らす人を増やす‐。この未来図を実現するには、報酬体系を通して、医療の重点を在宅に移し、介護との連携強化を促すことが不可欠だ。

 医療の提供体制は、診療報酬が手厚い急性期病床に大きく偏っている。高齢者のリハビリなどを担う回復期病床の増床に本気で取り組むべきだ。地域医療の再編も加速させる必要がある。

 患者が回復期を経て在宅に戻るには、十分なケアを受けながら、病状が悪化した場合はいつでも入院できる安心感が欠かせない。医師や看護師と介護のケアマネジャーなどが、患者に関する情報を共有できる取り組みを広げたい。

 患者の実情をよく知る「かかりつけ医」や「かかりつけ薬剤師」を増やすことも重要だ。

 介護では自立支援に対する報酬を手厚くするという。ただし、症状は人によって異なる。自立を重視するあまり、必要なサービスをきめ細かく提供するという原則が軽視されるようでは困る。

 報酬アップは保険料や自己負担の増加となって国民に跳ね返る。他方で、国の財政も厳しさを増すばかりだ。にもかかわらず、改定を巡る政府の議論は深まらず、医師会など業界団体の意向に沿った首相官邸主導の決着となった。

 高齢化が進む中、政府は社会保障制度を全世代型に転換するという。財源論議を本格化させ、持続可能な制度づくりを急ぐべきだ。


=2017/12/29付 西日本新聞朝刊=

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