特殊詐欺 新たな手口に注意喚起を

 高齢者の現金自動預払機(ATM)による振り込みを制限する動きが金融機関で広がっている。

 振り込め詐欺など特殊詐欺の被害防止が目的だ。過去3年間にATMで振り込みをしていない70歳以上の人などを対象としている。

 その場では不便で面倒だと思う人もいるだろう。しかし被害に遭ってからでは遅い。一段と巧妙化する特殊詐欺の根絶を目指す契機としたい。

 ATMの利用制限は一昨年から広がり九州でも実施されている。対象者が通帳やカードを使って振り込もうとすると、ATM画面に「お取り扱いできません」などと表示され、インターホンなどで銀行側に問い合わせる仕組みだ。特に行員がいないスーパーなどのATMで効果を上げているという。

 特殊詐欺で最近特に気をつけたいのは、高齢者だけでなく若者層も狙われていることだ。

 警察庁によると、特殊詐欺全体の被害額は3年連続で減少傾向にあり、昨年は11月末で343億円余だった。電話で子や孫を装う「おれおれ詐欺」のような手口が広く知られるようになったためとみられる。

 一方で被害の認知件数は7年連続で増加傾向にあり、昨年は11月末で1万6千件余だった。金融機関を介さない新たな手口が増加しているとみられる。

 目を引くのは電子マネー型と呼ばれる詐欺の被害だ。電子マネーはコンビニなどでカードとして購入でき、記載されたID番号によりインターネット決済が可能だ。

 犯人側は「アダルトサイトの料金未納」などと架空の請求メールを不特定多数に送り、返信があった人にカードを買わせてネットで金を詐取するという。昨年上半期の被害総額は8億円近くで、前年同期から3・5倍増となった。

 内閣府が昨年実施した世論調査(18歳以上が対象)によると、自分は特殊詐欺の被害に遭わないと思う人は8割を超えた。しかし、油断はできない。少しでも不審に思ったら家族や友人、警察に相談し、被害を防ぎたい。


=2018/01/11付 西日本新聞朝刊=

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