陸自ヘリ墜落 国民の信頼揺るがす事故

 一歩間違えば大惨事となった重大事故である。自衛隊に対する国民の信頼を揺るがしかねない。

 佐賀県神埼市の住宅街に陸上自衛隊のヘリコプターが墜落し、乗組員の隊員の死亡が確認された。民家が炎上し、小学生が軽傷を負った。近くには小学校や認定こども園があった。

 整備後の点検飛行中だったという。所属する目達原(めたばる)駐屯地(同県吉野ケ里町)を離陸して7分後に墜落した。墜落しそうな場合は住宅街を避けるのが鉄則だ。現場周辺には田畑も広がっているのに、民家を直撃した。

 ヘリや戦闘機など自衛隊機の墜落事故は2007年以降、主なものだけで10件目である。多くは海や山中に落ちた。今回は民間人を巻き添えにした危険度の極めて高い事故だ。安倍晋三首相が国会で「自衛隊の最高指揮官として心よりおわび申し上げる」と謝罪したのも当然だろう。

 自衛隊は厳しい訓練を重ね、災害派遣活動や国連平和維持活動などを通じて国民の信頼を得てきた。その自衛隊が本来守るべき国民に危害を及ぼす事故を起こせば信頼関係の根幹に関わることは改めて指摘するまでもあるまい。

 墜落したのは対戦車攻撃ヘリだ。「最強の戦闘ヘリ」と呼ばれ、コンピューター制御のため操縦は比較的容易という。そんな高性能機が突発的に制御不能になったとみられる。目撃者によると、メインローター(主回転翼)が機体から外れた状態で墜落したという。尋常な事故ではない。

 徹底的な原因究明と再発防止が重要である。機体や整備に問題はなかったか。組織や要員の在り方を含む構造的な問題にも切り込む必要があるのではないか。

 沖縄で米軍ヘリによるトラブルが相次ぎ、日本政府が米軍に再発防止を要請するさなかに今回の事故は起きた。その意味でも深刻な事態と言わざるを得ない。

 国民の信頼回復のためにも、政府と防衛省は事故関連の速やかな情報公開に努め、安全性の確保に万全を期してほしい。


=2018/02/07付 西日本新聞朝刊=

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