米国務長官解任 大事の前に混乱では困る

 北朝鮮を巡る外交が歴史的な局面を迎えているのに、こんなことをやっていて大丈夫なのか。

 米国のトランプ大統領が突然、ティラーソン国務長官を解任した。国務長官は、米政権の最重要閣僚で、外交の司令塔である。

 解任の理由についてトランプ氏は「幾つかのことで意見が合わなかった」と記者団に語った。

 ティラーソン氏は政権内では国際的な協調を重視する穏健派と位置付けられ、「米国第一主義」の独善的な外交を進めるトランプ氏との確執が目立っていた。

 特にイラン核合意については、破棄を目指すトランプ氏に対し、ティラーソン氏が同盟国や関係国の懸念を受けて合意維持を強く主張した経緯がある。

 北朝鮮に関しても、かつてトランプ氏は、対話を模索するティラーソン氏を「時間の無駄」と酷評していた。そうかと思えばトランプ氏が一転して国務省の頭越しに米朝首脳会談の開催を決めるなど、ちぐはぐさを露呈していた。

 トランプ政権では閣僚や高官の辞任、解任が相次いでいる。発足1年余りで大統領首席補佐官、厚生長官、報道官などが政権を去った。3月に入ってもコーン国家経済会議委員長が辞意を表明した。混乱ぶりは隠しようもない。

 トランプ氏は閣僚や側近スタッフの人選で、自分への忠誠心を最重視するといわれる。結果的にイエスマンや素人の集団で政権運営する危険に陥るのではないか。

 ティラーソン氏の後任となるポンペオ中央情報局(CIA)長官は北朝鮮やイランへの厳しい姿勢で知られ、外交観はトランプ氏に近いという。「歯止め役」を失ったトランプ政権が強硬路線を加速させる可能性は大きい。

 政権混乱のあおりで、国務省の北朝鮮担当特別代表、駐韓大使など対北朝鮮外交の主要ポストが空席になっている。こうした状態で首脳会談の準備はできるのか。

 トランプ氏が早期に政権の混乱を収束させ、外交戦略を立て直さなければ、肝心の米朝首脳会談で後手に回ることになりかねない。

=2018/03/15付 西日本新聞朝刊=

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